カム・シャン・グリッペ(フランス料理)


◆場 所(渋谷区神宮前5−46−12)
表参道の交差点から、国道246号沿いに渋谷方向に向かって通りの右側の歩道を進み、紀伊国屋を過ぎて、無印良品とシティバンクの間の通りに、右に曲がって入ります。その通りを100m位歩いた右手にあります。入口(メニューが掲示してあります。)や看板が小さいので、通り過ぎないように注意してください。表参道駅の出口から徒歩5〜6分位です。
地図はこちらです。


◆最寄り駅
地下鉄 銀座線・千代田線・半蔵門線 表参道駅

◆電 話
03−3400−6885(FAX 03−3400−6883)

◆営業時間
11:30〜14:00(L.O,)/18:00〜21:00(L.O,)
   火曜日休み

◆雰囲気
レストランは建物の1Fにあり、ハーブや観葉植物のプランターが置いてある白いタイル張りの細い通路(右の写真)を進むと、レストランの入口になります。レストランに入ると、左手にレストルームが男性用・女性用の2室あり、右手にダイニングルームがあります。変形のL字型にシートが並んだダイニングルームは、30名位が入れる広さです。
インテリアは一見シンプルですが、よく見ると天井と壁の境にはモールディング、照明を組み込んだ飾り棚、棚に置かれた観葉植物、壁に飾られた不思議な雰囲気のお面や画、中央の配膳台の大きなフラワーアレンジメントなど、細かいところまで気を使っていることがわかります。豪華なインテリアというわけではありませんが、床は絨毯敷き、壁はクロス張りで、ベージュを基調とした落ち着いた居心地の良い空間だと思います。あまり広くないダイニングルームですが、騒々しい感じはなく、全体に落ち着いて食事が楽しめる雰囲気にまとまっています。

各テーブルは壁に沿って並んでいて、薄茶と薄緑の落ち着いた色調のストライプ柄のベンチシート、黄とゴールドの中簡のような色合いの布張りの椅子を使っています。テーブルの間隔は狭いですが、価格を考えると仕方がないと思います。最高級レストランの『レカン』でも席によっては、この程度の間隔なのですから。椅子は肘掛けはなく、背もたれも高くないですが、しっかりした造りで、クッションは多くありませんが、座り心地は悪くありません。

照明はハロゲンランプのダウンライトとスポットライト、ブラケットを使っていて、ダイニングルーム全体、テーブルの上とも少し暗く感じます。もう少し明るくした方が、料理の盛付けの美しさが映えると思います。BGMは、空いてくると音量をかなり下げて流すこともあります。なおダイニングルームの雰囲気に直接関係ありませんが、厨房は2Fにありますので、厨房の雑音が聞こえる事はありません。
入口付近のレストルームのインテリアも、壁紙が独特ですが清潔感のあるインテリアです。洗面カウンターには、液体石鹸、ペーパータオルの用意があり、観葉植物も置かれていました。

テーブルウェア関係は次の通りです。テーブルクロスは3枚重ねで、カトラリーはクリストフル(ホテル仕様ではありません。)、プレゼンテーションプレートはリチャードジノリ、一般の食器は主にニッコーのシンプルな柄のものを使っていますが、レイノーやリチャードジノリなどの高級品を使うこともあります。水などのグラスは普通のクリスタルガラスですが、ワイングラスはボトルを注文するとスピゲラウやリーデルを使いますので、ワインを充分楽しめます。テーブルにはプティフラワーも置かれています。

サービスに関して、満席の場合、料理の出される間隔が多少間延びしますが、料理の説明、テーブルへの目配りも十分で、配膳時のサービスも丁寧です。メートルドテルは、控え目な印象ですが、ワインのアドバイス、料理の説明、ワインのサービスとも的確で、お客様の期待にこたえてくれるでしょう。出店時もメートルドテルが丁寧に見送ってくれますし、コートを着る手伝いもしてくれました。また手が空いていれば、出店時に浅野シェフとお話しすることも可能です。

◆価 格
ランチ  ¥2,000/¥3,500
ディナー ¥4,800〜/¥8,000(おまかせコース)
 アラカルトはありません。
  ¥4,800〜のコースの構成
   アミューズ、前菜1、前菜2、魚or肉料理、アヴァンデセール、デセール、食後の飲物、プティフール
    フロマージュ ¥800〜
   サービス料 10%

◆料 理
料理の写真を掲載していますが、他のお客様に迷惑にならないように、すべてフラッシュを使用していません。
そのため若干不鮮明な写真もありますが、ご了承ください。


アラカルトはなくコースのみですが、前菜1、前菜2、魚or肉料理、デセール1の料理は2〜5種類から選択できます。料理によっては追加料金が加算されます。また時間のかかる料理は、メニューに記載していることがあります。
メニューを見るとわかりますが、どれもシェフが考えたオリジナルなフランス料理が並んでいます。素材にも気をくばった(料理によっては産地、生産者が記載されています。)、独創的ですがフランス料理の枠をはみださない料理は、食べに行く価値があります。フランス料理向きではない素材(魚料理では穴子、スープではゴボウ、デセールではゴマ)も積極的に取り入れて、フランス料理に巧妙に消化させています。一皿、一皿の料理に対して、シェフが調理法、ソース、付け合わせをいかに工夫したら美味しくなるか、その創意工夫が食べる人にも伝わってきます。その代わり『鴨の胸肉のロースト オレンジソース』などのオーソドックスな料理はありませんので、ご注意ください。メニューは季節ごとに少しづつ内容が変わりますが、定番的な料理もあります。ディナーコースの料理の量も、普通の人には十分な量となっています。

アミューズは、アンチョビ風味のサクサクした一口パイがいつもサービスされます。
一皿目の前菜の『柔らかく煮た黒豚と根菜類のガレット』は、下記の『柔らかく煮た黒豚のポワレと温野菜のサラダ』と同傾向の料理で、非常に柔らかく、ジューシーな黒豚と野菜をガレット仕立てにしています。根菜は人参、大根、じゃがいも、ゴボウを使っていて、黒豚との相性も良く、しっかりした味の前菜を選びたい人には向いています。
一皿目の前菜の『鴨の砂肝 セロリのテリーヌ ライム風味 自家製鴨の生ハム添え』は、鴨の砂肝を使った珍しい一品で、酸味の利いたサラダとの組合せも爽やかな料理でした。鴨の生ハムのしっかりした塩味が淡白な砂肝を引き立てています。
一皿目の前菜の『柔らかく煮た黒豚のポワレと温野菜のサラダ』は、赤ワイン、バルサミコの風味がきいていて、黒豚はジューシーで柔らかく、端はカリッと仕上がっています。アーモンドやクルミを刻んだものがかけてあり、これが良いアクセントになっています。黒豚の下にはブロッコリー、人参、オクラ、カリフラワーの温野菜が敷いてあります。野菜本来の味がしっかり出ているのが印象的です。
一皿目の前菜の『うずらのギャレット パイ包み その卵のサラダ コリアンドル風味』は、うずらをミンチ状にして、クルミ、粒胡椒などを加え、パイ包みにしたものです。付け合わせのうずらの卵は、マヨネーズとイタリアンパセリで和えてあります。パイ包みの中のレーズン(?)の甘さとクルミの味が良いアクセントになっています。
一皿目の前菜の『鴨フレッシュフォアグラのテリーヌ さつまいものショソンと共に』(+¥1,000)はオーソドックスなフォアグラのテリーヌですが、素材も良く、木目細かく仕上げたさつまいものパイ包みと組み合わせるところにシェフのセンスの良さがわかります。

ニ皿目の前菜の『春野菜のモザイク仕立て』(+¥500)は、見た目が非常に美しい春野菜のテリーヌで、野菜の旨味と甘さが感じられました。インゲン、ズッキーニ、カリフラワー、ブロッコリ、オクラ、姫人参、黄・赤ピーマン、ヤングコーンなど、沢山の野菜を使っていて、塩味のみのシンプルな一品です。付け合せにはマスタードの風味が感じられました。
二皿目の前菜の『蒸しサザエのガスパッチョ仕立て』(+¥600)は、柔らかくて肉厚の蒸しサザエは軽くグリエしてあり、その香ばしさとガスパッチョの組み合わせが素晴らしいと思います。とろみがかなりあるガスパッチョはズッキーニとトマトの微塵切りが入っていて、酸味のバランスが良く、とても上品な仕上がりです
二皿目の前菜の『野菜のスープ(本日のスープ)』は、野菜本来の味を生かした、あっさりした味のスープを予想していましたが、カプチーノ仕立てで、こくがあり、骨格のしっかりしたものでした。
二皿目の前菜の『手長海老とかぶらのモンゴルフィエール』(+¥1,200)は、熱々でサービスされ、パイ皮を破った時の手長海老のスープの立ち上る香りがとても魅力的です。追加料金が高いのが残念ですが、手長海老もかなり入っていました。
二皿目の前菜の『三島落合ハーブ園のパルフェットサンテ』は、定番の料理で、フレッシュなハーブを生かしたサラダです。

魚料理の『あなごのポルト酒煮 修善寺の黒米添え』は、このレストランの代表的な料理で、ポルト酒でとても柔らかく煮たあなごは、こってりと甘く、立ち上る香りも魅力的です。黒米には、人参の刻んだものも入っていて、あなごとの相性は抜群です。
魚料理の『沼津漁港より直送 本日の鮮魚料理(鱸のロースト 赤ワインソース)』は、丁寧にロティした鱸(スズキ)を赤ワインソースで仕上げた、このレストランにしてはオーソドックス(?)な味の料理です。付け合わせには、オクラ、インゲン、ソラ豆、ブロッコリー、カリフラワー、姫タケノコなど、いろいろな野菜が添えられ、鱸の皮をカリッと揚げて、塩で味付けしたものが飾られていました。
魚料理の『沼津漁港より直送 本日の鮮魚料理(黒ムツのムニエル しょうが風味バターソース)』は、オーソドックスなムニエルですが、単なるバターソースのこってりした味ではなく、しょうが風味にして、少しさっぱり感を出していました。

肉料理の『仔兎モモ肉の軽いコンフィとレンズ豆のグリーン煮 エストラゴン風味』は、コンフィの塩がきつめで、好みの別れる味です。良く煮込んだレンズ豆も香辛料が効いていて、エスニック風な味わいです。
肉料理の『原さんが選んだ和牛イチボ肉のステーキ 玉ねぎソース アンディーブのフラン添え』(+¥1,000)は、定番的な料理で、質の良い和牛を相性の良い玉ねぎソースで食べさせます。付け合わせのアンディーブのフランも効果的で、主菜としての量も充分です。

フロマージュ(この写真のものを選んで、¥1,500)の品揃えは、各タイプ2〜3種類で10種類程度用意してあります。レーズン、いちじく、クルミ入りなどの、フロマージュと相性の良いパン、ドライフルーツ、蜂蜜なども用意され、保存状態も申し分なく、とても良い熟成状態で出されました。

デセールに関して、以前は一皿目のデセール+いくつかの焼き菓子からの盛り合わせというスタイルでしたが、アヴァンデセール+デセールのオーソドックスなスタイルに変わりました。
アヴァンデセールのパイナップルのソルベは、パイナップルがたっぷり使った、とてもジューシーな仕上りです。
デセールの『マルキーズ ショコラ オ フランボワーズ モカソース』は、中に詰まった、まったりしたチョコレートと、ほど良いアクセントのフランボワーズが、とても美味でした。オーソドックスな組合わせですが、モカソースも質の高いものです。
デセールの『苺の定番 ミルフィーユ』は、パリパリのパイ生地に、苺がそのまま入ったミルフィーユで、洋酒の風味が感じられるピスタチオのアイスクリームが添えられていました。定番ですが、甘さを控え目にしたカスタードクリームは上品な仕上りです。
デセールの『イルクロッタン”卵白淡雪のデザート”』は、その名前のように、淡雪のようにフワッとした卵白とイチゴの盛付けが美しく、甘い香りのバニラビーンズをよく効かせたカスタードに入っています。
デセールの『柑橘類のジュレ モザイク仕立て』は、柑橘類、特にグレープフルーツのジューシーさをそのまま生かし、さっぱりした味に仕上げています。グレープフルーツの果肉もたっぷり入っていて、ペパーミントの爽やかさとオレンジピールの甘さが生きています。
デセールの『ドームショコラ パンテオン カシスのソルベ添え』は、ショコラ好きにはぜひオーダーして欲しいデセールで、ツヤツヤのドームの表面がとてもユニークで、カカオと甘さのバランスがとても良いデセールです。
デセールの『あつあつリンゴのタルト・キャラメリゼ マジョラムのアイスクリーム添え』は、定番のデセールですが、ビストロなどで出される冷めたリンゴのタルトとは異次元の素晴らしいデセールで、タルトのキャラメリゼとマジョラムのアイスクリームとの相性は最高です。お皿がかなり熱くなっていますので、注意してください。

このレストランのパンは1種類ですが、自家製(横浜市青葉区美しケ丘、パン&カフェ『パンペルデュ』を経営 TEL 045−901−4142)で、ねばりけがあって美味しいので、食べ過ぎる恐れがあります。いつも温めてサービスしてくれます。

ワインの品揃えはスペースの関係で大きなセラーを設置できないにしては、以前よりかなり改善されました。ボルドー、ブルゴーニュの赤の、有名でリーズナブルな銘柄を中心にして、それぞれ十数種類、その他の地方も数種類ありますので、特に選択に困ることはないでしょう。価格はレストランとしては平均的なレベルです。開栓料を払えば、ワインの持ち込みも可能です。
食後の飲物はエスプレッソ、紅茶、フレッシュハーブティーが選べ、プティフールもサービスされます。

◆その他の情報
浅野シェフに聞くと、使っている素材、調理法などを親切に教えてくれます。(家で作るにはかなり難しいレベルですが。)
店名は、”夢見る気まぐれな犬”という意味です。
ディナーは満席のことが多いので、必ず予約して行きましょう。
車で行く場合、レストランの通り沿いに、時間貸しの駐車場がいくつかあります。
姉妹店として南青山にパン屋&バー『デュヌ ラルテ』(TEL 03−5464−2604)があります。




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