ラミ・デュ・ヴァン”エノ”(フランス料理)


ラミ・デュ・ヴァン・エノ ◆場 所(渋谷区神宮前2−5−6 アマデウスハウス1F)
外苑前駅の出口(渋谷方面に向かって右側の出口)を出ると、すぐに青山3丁目の交差点になりますが、この交差点を渡り右折します。数十m先の日本酒類販売のビルの角で左折し、横道に入ります。その道を300m位進むと熊野神社になり、その先から道幅が広くなります。さらに数十m進んだ右手の建物の1Fです。同じ建物の右隣りがコンビニエンスストアになっています。駅の出口から徒歩6分位です。
地図はこちらです。


◆最寄り駅
地下鉄銀座線 外苑前駅

◆電 話
03−3796−0228(FAXも同じ番号です。)

◆営業時間
11:30〜14:00(土・日・祝日 12:00〜14:30)
18:00〜21:30/ワインバー 21:30〜23:00
   月曜日休み

◆雰囲気
住所のアマデウスハウスという名前の建物名を聞くと、いったいどんな建物かと、いろいろ想像してしまいますが、訪れてみると、特にモーツアルトに関係があるとは思えない古いマンションです。夜は隣のコンビニの明かりが目立ち、青山のおしゃれなフレンチレストランを期待して行くと、人によってはイメージが違っていたなと思うかもしれません。レストランのファサードは右手の白く塗られた木の扉の入口、左手のダイニングルームの床まである窓、小さな窓の植え込みと、木や自然を生かした爽やかなイメージでまとめています。
ラミ・デュ・ヴァン・エノ レストランの扉を開けて中に入ると、小さなスペースがあり、右手の壁にクラブ・ミストラル発足時の、全員集合の記念写真が飾ってあります。正面に厨房へのドアがあり、左に進むと長方形のダイニングルームです。
ダイニングルームは奥に向かって右手がオープンキッチン、左手にこげ茶色のベンチシート、黒の金属の脚のテーブル、小型で薄茶の木の椅子が並んでいて、中央が通路になっています。オープンキッチンの前にカウンター席もありますが、そこにお客が座っていなければ、通路幅は広く感じるでしょう。テーブルの間隔は広くありませんが、価格を考えると妥当だと思います。
床は斜めに組んだ、こげ茶色の板張りで、写真のようにオープンキッチンとの仕切りにも木を使うなど、いたるところに木を使って、落ち着いた雰囲気です。壁はクリーム色に塗られ、右下の写真のような壁画を描いて、おしゃれな演出もしています。カウンターの端には大きな生花も飾られています。
インテリア全体の印象は、都会の高級フレンチレストランというよりは、田舎の素朴なフレンチレストランですので、堅苦しい雰囲気で食事するのが苦手な人には向いています。またオープンキッチンですので、シェフが働いているところがじっくり拝見できますし、調理中のいい匂いがダイニングルームにも漂ってきます。

照明はカウンター席の上にダウンライト、テーブル席の上にはペンダントライトを使っていて、全体に少し暗めです。テーブルの上を明るくするように工夫していないので、料理の盛付けが映えるような照明ではありません。BGMはシャンソンが静かな音量で流れていましたので、それほど気になりません。
レストルーム(男女共用)はダイニングルームの一番奥にあるワインセラー(加湿冷蔵庫)の左隣にあります。床が小口タイル、木の腰壁で、小さ目ですが、黒御影石の洗面カウンターの落ち着いたインテリアです。カウンターには生花とペーパータオルの用意がありました。

テーブルウェア関係は次の通りです。クロスに関しては、一番下に白のクロスをカバー代わりにテーブルトップに、その上にクロスを二枚重ね、食器はベルナルドのいろいろな柄のもの(クラブ・ミストラルの会員のレストランではベルナルドを多用しています。)とノリタケなどを使い分けていて、カトラリーはTodaiです。グラス関係は、水は普通のクリスタルガラスですが、ワイン用には容量の大きなスピゲラウを使い、ワイン愛好者に配慮しています。またテーブルにはプティフラワーも置かれていました。

サービスですが、ギャルソンは1名のみです。従ってこの席数(30席)で、お客が同時に入店すると、料理の注文に待たされることになります。ただ料理の運ぶタイミングは、カウンター席を除いて、テーブル席が半数強埋まった状況で、特に問題はありませんでした。厨房は榎本シェフを含めて3名いて、このうち1名がサービスも担当していましたので、これでつじつまが合っている感じです。満席の場合は、ある程度料理の出るタイミングも遅くなる可能性はありますが、価格を抑えているので仕方がないと思います。サービス自体は丁寧で、料理に関する質問にも、詳しく答えてくれます。
オーナーシェフの榎本氏は顎髭をはやしていて、見た目は精悍で少しこわい印象がありますが、厨房でのシェフは黙々と料理を仕上げる職人という感じです。オープンキッチンですが、シェフ同士の会話はほとんど聞こえてきません。出店時に榎本シェフとお話してみると、とてもおだやかな応対で、丁寧に挨拶してくれ、気持ちよくレストランを後にすることができました。

ラミ・デュ・ヴァン・エノ ◆価 格
ランチ  平日 ¥1,500〜/土・日・祝日 ¥2,300〜
ディナー
 ¥4,300
  前菜1、前菜2、魚または肉料理、デセール、食後の飲物
 ¥6,500
  前菜1、前菜2、魚料理、グラニテ、肉料理、デセール、食後の飲物
  アラカルトはありません。
   サービス料 6%

◆料 理
¥4,300のコースは、最初の軽い前菜(アミューズ・グール)がありませんが、木刻みに料理を出すよりは、しっかりした前菜を二品にして、各料理の印象を強めたいという、榎本シェフの意図によるものだそうです。インテリアは素朴な感じですが、料理はシェフのオリジナリティが感じられる本格的なフレンチです。料理の量も普通の人には十分で、足りない人はフロマージュを注文すると良いでしょう。使っている素材も申し分ありませんが、料理によっては追加料金が必要です。前菜1は決められた料理ですが、前菜2以降は、数種類の料理の中から選択できました。

一皿目の前菜の『セロリのブラマンジェとオマール海老のデュエット ソーテルヌ風味』は、ほどよく冷たく、オマール海老、オマール海老の風味を生かしたソース、セロリのブラマンジェの組み合わせは素晴らしく、お皿の底のソーテルヌの甘さもうまくとけあったた逸品です。生クリームをふんだんに使っているらしく、セロリのクセが苦手な人にも充分楽しめる料理です。と言っても、セロリの風味を殺さないぎりぎりのところでバランスを保っています。
二皿目の前菜の『聖護院かぶらのマリナード、ハチミツ風味とボタン海老』は、ボタン海老と聖護院かぶらを甘酸っぱいソースで食べさせる冷製の料理で、聖護院かぶらのサクサクした食感をうまく残しています。写真のように盛付けもきれいです。
二皿目の前菜の『すっぽんと鴨のフォアグラのガランティーヌ』(+¥1,000)は、あまりフレンチで使わないすっぽんを鴨のフォアグラと合わせた意欲作で、味のまとまりは申し分なく、巻いたナスも風味は充分楽しめます。少々残念なのは、すっぽんの存在感が希薄なことと、ソースがお皿にこびりついたようになってしまっていることです。もう少し料理とお皿の温度が高くても良いのではないでしょうか?

肉料理の『仔牛の頬肉とあなごの煮込み、ごぼう風味』(+¥800)は、ボリュームがあり、仔牛の頬肉の煮込み具合が良く、あなごと組み合わせているのが新鮮です。ごぼう風味のソースにはポルト酒を使っているそうですが、甘さはほとんど感じられません。なお上に付け合わせてあるものは、ごぼうの皮をスライスして揚げたものです。
魚料理の『三崎から届いたお魚を調理した一皿(いとよりのじゃがいもの千切り 包み焼き)』もボリュームがあり、運ばれてくるとじゃがいもの香ばしさが印象に残ります。じゃがいもの千切りで包んで焼くと、いとよりの火加減が気になりますが、とても良い火入れでした。タイムの香りも感じられ、トマトの角切りや菜の花のソテーも良いアクセントになっています。ソースは酸味をきかせたバターソースです。香りがとても良い料理ですので、じゃがいもの千切り包みを切らないで、盛り付けてくれれば、自分でナイフで切った時に、立ち上る香りが楽しめると思いました。

フロマージュ(1種類¥300)の品揃えは、全部で10種類くらいで、各タイプをバランス良く揃えています。フロマージュと相性の良い、いちじく、杏のパンドカンパーニュも用意されます。保存状態も良く、赤ワインを少し残しておいた方が良いでしょう。

デセールは専用メニューの数種類の中から、皿盛りのデセールを選びます。
デセールの『ガトー・マジョレーヌのアレンジ、シェフスタイル』は、卵白とアーモンドの粉末をメレンゲにしてあり、適度な甘さのバニラアイスとのハーモニーが良いデセールです。盛付けは付け合わせのフルーツやソースがなく、見た目は面白味には欠けます。シェフの意図としては、余分な付け合わせに頼らずに、ストレートに味わって欲しいのでしょう。なお真っ直ぐに刺しているのは、バニラビーンズです。
デセールの『二種類、グレープフルーツのテリーヌとヌガーグラッセ』は、テリーヌ状にしたグレープフルーツに、生クリームのソースとミントの微塵切りを合わせていて、テリーヌの上に盛り付けた、くるみのアイスクリームとの味のバランスも悪くありません。難を言えば、盛付けが少し無造作な感じがします。

パンは、一つ目は自家製のゴマパンで(時期によってパンの種類が変わるそうです。)、香ばしく美味しいですが、二つ目から普通のバゲットになります。どちらも温めてサービスされました。なお普通の無塩バターの他に、有料になりますが、エシレの用意もあります。

ワインの品揃えは、店名(”ラミ・デュ・ヴァン”とは、”ワインの友”という意味)から伺えるように、このクラスのお店としては充実しています。ボルドー赤が15種類位(¥8,000〜¥55,000)、ブルゴーニュ赤も15種類位(¥7,000〜¥30,000)、ブルゴーニュ白が10種類位(¥8,000〜¥25,000)、シャンパーニュが10種類位(¥7,000〜¥25,000)で、ソーテルヌ(¥15,000〜¥18,000)、コートデュローヌ(¥7,000〜¥35,000)がそれぞれ数種類ありました。
またこれとは別に低価格の白数種類と赤10種類弱(¥3,000〜¥6,000)もあり、ワインの持ち込みも可能(開栓料は必要)ですので、幅広い層の人々に対応しています。

食後の飲物はエスプレッソ、コーヒー、紅茶、ハーブティー(フレッシュではありませんが、カモミール、ベルベーヌなど好きなハーブを選べます。)が選べます。

◆その他の情報
榎本シェフは、88年に渡仏し、ジョワイニの三つ星レストラン、『ラ・コート・サンジャック』、パリの一つ星レストラン『ジャック・カーニャ』、『アンフィクレス』等で修行後、90年に帰国、淡路町『ビストロ・ル・ヴァン』の料理長を経て独立、この店を97年10月にオープンしています。若手シェフの集まり、クラブ・ミストラルの会員です。
ジビエに力を入れているレストランで、コース+追加料金で楽しめます。
車で行く場合、店の前の通りにコインパーキングがあります。




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