◆場 所(港区南青山3−14−23) 表参道の交差点から、国道246号沿いに赤坂方面に向かって、通りの右側の歩道を進み、そば屋の「増田屋」の角を右折して横道に入ります。100m位進むと左側にガーデニングショップがありますので、そこの角を左折して20m位進むと、 ル・アンジェ教会 が見えます。その教会の建物に沿って右手奥にレストランがあります。表参道の交差点から徒歩数分程度です。 地図はこちらです。 ◆最寄り駅 地下鉄 銀座線・千代田線・半蔵門線 表参道駅 ◆電 話 03−3478−5645(FAX 03−3478−5927) ◆営業時間 12:00〜15:00(L.O.14:00) 18:00〜22:30(L.O.21:00) 祝日は除く火・水曜日休み ◆雰囲気 ラ・ロシェル南青山は、「料理の鉄人」で有名な坂井宏行シェフがオーナーで、旧カネボウビルにあり閉店した銀座の高級フレンチレストラン「ベル・フランス」の石井シェフが、グランシェフを務めるレストランです。 一番上の写真の、隣接した ル・アンジェ教会の脇の木々がライトアップされたエントランスを進み、レストランに入るとレセプションになっていて、手荷物・コートの預かり、予約リストのチェックをしてくれます。 十分なスペースのレセプションの左隣りのガラス扉を開けると、80人は着席できる(披露宴の場合は、100人まで利用が可能だそうです。)大きなダイニグルームになります。南仏の片田舎をイメージした(と言っても素朴というよりは、高級なイメージです。)というダイニングルームは、床が20cm角位の大判のテラコッタ色のタイル、壁がペールピンクのいかにも南仏風な色の塗装仕上げです。天井は高く、クリーム色の塗装仕上げ(?)で、大きな化粧梁(両端は化粧石までついています。)もついています。 ダイニングルーム内の配置ですが、入口のガラス扉から見て、正面奥の壁一面に大きなベンチシート、左手奥が厨房、その右隣にレストルームで、右手は上から4番目の写真の高級なファブリックを使ったカーテンが設えてあり、窓の外には白のトレリスのある小さなテラスになっています。披露宴ではこのカーテンの前に新郎・新婦のひな壇が置かれるそうです。 ダイニングルームの中央は丸テーブル(披露宴の時に、人数調整しやすいメリットがあります。)が、ゆったりした間隔で配置され(披露宴のキャンドルサービスを考慮しているのでしょう。)、坂井宏行シェフがコレクションしたという、ベネチアングラス、ボヘミアングラス、アールヌーボー調の銀器、エルメスのティーセットなどが飾られたキュリオ、食後酒用のワゴン、大きな観葉植物・トピアリー(但しフェイク)が置かれて、全体に品良くまとまったインテリアだと思います。ただ壁に飾られた絵は、南仏の片田舎のイメージには、そぐわない感じもします。 椅子はベージュとモスグリーンの中間のような色調のストライプ柄のもので、クッションは少な目ですが、座り心地は悪くありません。 照明はハロゲンライトのダウンライトで各テーブルトップをライトアップし、大理石模様のガラス(?)のグローブを持った大きなシャンデリアが、ダイニングルームの天井の中央に取り付けられています。壁沿いの柱にはブラケット、隅にはスタンドも置いてあります。テーブルの上は明るく、食事をするには充分な明るさですし、ダイニングルーム全体も適度な明るさで、落ち着いた雰囲気に貢献しています。また天井には白のBOSEのスピーカーが取り付けられていましたが、天井埋め込みにした方がデザイン的にすっきりします。BGMは静かな音量で、クラシックの曲が流れていました。 厨房隣りのレストルームは男性用、女性用の2室あり、男性用は充分な広さで、床、壁ともダイニングルームと同じ仕上げです。大理石を使った洗面カウンターは豪華で、楕円形の洗面ボウルと水洗金具には、高級なコーラー社のものを使っていました。液体石鹸の用意がありましたが、高級店の設えなので、できればハンドタオルの用意もしてもらいたいと思います。なおレストルームにはBGMは流れていませんでした。 テーブルウェア関係は次の通りです。トップにネルを貼ったテーブルの上に、ネルのクロスを載せ、さらに柄物のクロスと白のクロスの3枚重ね(実質は4枚)、食器はプレゼンテーションプレートが一番下の写真のエルメス他、その他の食器はナルミ、仏ベルナルド、仏ギドグレーヌ(GUY DEGRENNE)、仏レイノー、独トーマスなど、ワイングラスは無名のものですが、容量が大きいものです。カトラリーはラ・ロシェルのロゴ入りの、ホテル仕様のクリストフルでした。テーブルにはバラ一輪も飾られています。 サービスに関してですが、披露宴馴れしたレストランは、型どおりのサービスで、個人客相手の場合、隙が多い場合がありますが、そんなところは全く感じさせず、全体に落ち着いて、非常に丁寧な印象を与えてくれました。レセプションの女性は、予約リストのチェック、コートや手荷物の預かりも手馴れた印象です。出店時もコートを着る手伝いをしてくれる、レストランのパンフレットを取ると、封筒の用意をしてくれるなど、細かい気配りがありました。 フロアのサービスは、ダイニングルームが大きい割に、席が7割ほど埋まった状況で、テーブルの目配りに問題はなく、パンを勧めてくれるなどの配慮も行き届いています。料理の出される間隔も適度です。ワインのアドバイスもきちんと受けられましたし、料理の説明、質問への受け答えも丁寧です。席に戻ってきた時に、すぐに来て椅子の出し入れを手伝ってくれるなど、木目の細かいサービスは、高級店にふさわしい(高級店といっても、比較的リーズナブルです。)ものです。またサービススタッフの、お客様とコミュニケーションしようとする姿勢が、レストラン全体の雰囲気を柔らかく、居心地の良い空間にしてくれていました。とても好感のもてるサービスだと思います。 ◆価 格 ランチ ¥3,200〜 ディナー ¥8,500 アミューズ、前菜、スープ、魚料理、肉料理、 アヴァンデセール、デセール、食後の飲物、プティフール 他に¥12,000などシェフのおまかせコースがあります。 アラカルトもあります。 サービス料 10% ◆料 理 ¥8,500のコースは、アラカルトの料理の中から、前菜、魚料理、肉料理、デセールは数種類から選択できるプリフィクスとなっていました。追加料金の必要な料理は少なくなっています。料理は季節感があふれ、バラエティに富んでいて、選ぶ楽しさがあります。コースとして一皿のポーションはちょうど良く、ディナーコースを通してみると、普通の人にはかなり十分な量となっています。 石井シェフの料理は、ベル・フランス時代から野菜、ハーブ使いの名手として知られた人らしく、どの料理も、日本・フランスのいろいろな旬の野菜を使って、軽やかに仕上げていました。素材自体の持ち味を生かして、軽いソースの料理が多いので、フレンチの重たいソースが苦手な人に向いています。また肉料理はしっかりしたソースの料理もあり、重厚な赤ワインと合わせることもできます。 料理に使われている素材の種類は多く、質も良い(システロン産の仔羊、ドンブ産のうずら・蛙、鳥骨鶏の卵、フランスの白アスパラガスなどの高級食材を使っています。またハーブ、野菜は契約農家の新鮮なものを使っています。)ので、正直なところ、よくこの値段に抑えられるなと感心します。ラ・ロシェルはどの店も席数が多く、披露宴も多いので、食材の大量仕入れで効率化しているのかもしれませんが、この値段で、この料理、このインテリアなら、人気があるのも頷けますし、一般の人がフレンチレストランに求めるものを、うまく具現化していると言えます。料理の鉄人のレストランというと大衆的なイメージがありますが、このレストランは、そんなイメージを払拭する高いレベルを保っていると思います。 アミューズは、イスラエル製のガラス皿に美しく盛り付けられていて、フカヒレ入りのスッポンの茶碗蒸し、タラとジャガイモ、昆布じめしたシマアジでした。どれも手がこんだもので、スッポンの茶碗蒸しは上がジュレ状になっていて、フレンチというよりはチャイニーズ風なユニークなものです。 アミューズは、すっぽんのフラン、サーモンのプランタード、タコと鮪のバジル風味が盛り合わされた、とても凝ったものでした。素材の新鮮さ(特にとろりとしたタコは印象的)、バラエティに富んだ味など、後から続く料理への期待が高まるものでした。 前菜の『鴨のフォアグラのポワレーにバニュルス酒のソースとシュツネを添え』は、フォアグラの上のパートフィロより厚い生地の中もフォアグラという贅沢な一品で、下にはキャベツのパンケーキ、りんごと干しブドウが隠れていました。当然ですが、甘酸っぱいソースや付け合せのりんごは良く合います。 前菜の『鴨のフォア・グラと白アスパラガスをアンサンブルにし、横井さんの黒酢ソースをあしらって』は、旬のフランス産白アスパラガスの上に、質の良いフォアグラを載せていて、モンテしていない黒酢ソースは酸味と甘味のバランスが良く、この料理にふさわしいものでした。赤カブ(ビーツ)の葉を揚げたものやマンゴーのチップも盛り付けられています。 スープの『旬の野菜をポタージュにし軽く仕上げて』は、カリフラワーのポタージュでした。カリフラワーの微塵切りが入っていますが、カリフラワーの風味は控え目で、メニュー通りあっさりと仕上げています。 魚料理の『ポワローとベーコンを巻いた赤座海老とラビオリ、アルモリカンソース』は、トマトとオマール海老を使ったソースが印象的です。意外とトマトの風味が強めで、全体の香りが素晴らしいと思いました。海老はポーピエットになっていて、下に人参のピュレが敷いてあります。バジルの芽をのせていますが、良いアクセントになっています。 魚料理の『”あわび”の網焼きにラングスティーヌのラビオリ、ほのかな酸味のシブレットオイルをコントラストにして』(+¥1,500)は、柔らかいあわびのグリエとラングスティーヌのラビオリを組み合わせた贅沢な一品で、フランスの大根、カリフラワーなどいろいろな野菜を付け合せにしています。特にソースといったものはなく、良質の素材の持ち味を生かしたシンプルな味付けで食べる料理です。 魚料理の『大地の恵を”土香る野菜”とオマール海老のコンポジション』は、野菜をふんだんに使ったスープ仕立ての料理で、オマールの香りが立ち上り、スープにもしっかり甲殻類の風味が出ていました。オマール海老の火入れも良く、オマール自体の甘さがうまく引き出されています。たくさんの野菜を使っていますが、全体の味のバランスも良いものでした。 肉料理の『ほろほろ鳥のソテーと網焼きにニース産黒オリーブ入り赤ワインソース』は、フレンチのメインの料理としてしっかりしたポーションのオーソドックスな料理でした。ほろほろ鳥の肉質は柔らかく、この料理も蕪、人参、サツマイモ、プティシューなどいろいろな野菜が使われています。タイムの風味を効かせていて、赤ワインソースは重たくもなく、軽くもなく中庸を保っています。 肉料理の『リードーボーのポワレに3種類の生姜を入れ、香り高いソースに仕上げ』は、良質のリードーボーを意外とあっさりしたソースで仕上げていました。プリプリした食感のリードーボーは、淡白な部位なので、こってりした肉料理系ソースと合わせることが多いですが、この料理はどちらかというと香りを重視していて、生姜のさっぱりした風味をアクセントにしています。この料理もいろいろな野菜を付け合せに使っていました。 アヴァンデセールの「クレーム・ブリュレ」は、クレーム・ブリュレといっても表面をキャラメリゼしていなくて、ジュレがけにしていました。ベルベーヌのソルベがとても上品な味です。 アヴァンデセールの「オレンジ風味のスフレ」はコアントローをたっぷり効かせた熱々のスフレです。手間がかるデセールをよく用意できると思いました。 アヴァンデセールの「メロンのジュレとミントのシャーベット」は、爽やかな一品で、メロンのジュレはメロンの風味を残しながら、瓜系の青臭さをうまく抑えていて、瓜系が苦手な人にも楽しめるデセールでした。 デセールの『冬の野菜とフルーツをデザートに変化させ、”すだち”のソルベとのコラボレ』は、石井シェフの面目躍如といった料理で、デセールにしにくい冬の野菜を巧みにデセールに昇華しています。写真の緑色の葉物は白菜で、ゼリーがけしてあり、下に紫イモのムースが敷いてあります。蕪も甘く仕上げてあり、”すだち”のソルベとの相性も良いものでした。他の季節の野菜のデセールも食べてみたくなる魅力的なデセールだと思います。 デセールのワゴンからの盛り合わせは、お好きなものを、お好きなだけ選ぶことができました。パティスリーが9種類、シャーベットが3種類用意してあり、どれも甘さ控え目の上品な仕上りで、シャーベットもとてもジューシーでした。ほおずきやフルーツなども添えてくれます。 食後の飲物はエスプレッソ、コーヒー、紅茶、フレッシュハーブティーが選べます。プティフールもサービスされました。最後のプティフールをアミューズと同じく、ガラスのお皿で終わらせていて、シェフの遊び心が感じられます。 このレストランのパンは自家製ではありませんでしたが、いくつか種類があり、二個目から別のものに変えてくれました。パン・ド・カンパーニュは酸味がおだやかで、どれも香ばしく、料理の味の邪魔をしないし、パンだけ食べても美味しいものです。いつも温めてサービスしてくれ、固目のパンでは、パンの裏に十字の切れ目を入れて、食べやすくする工夫もしてありました。 ワインの品揃えに関しては次の通りです。ボルドー赤が十数種類(¥6,000〜¥38,000位)、ブルゴーニュ赤が十数種類(¥6,000〜¥28,000位)、その他の地方の赤が10種類位(¥6,000〜¥12,000位)、ブルゴーニュ白が十数種類(¥5,000〜¥28,000位)、その他の地方の白が十数種類(¥5,000〜¥11,000位)と、高級店にしては低価格のワインから揃えていて、シャンパーニュも数種類、ハーフボトルも十数種類と、充実していました。価格もレストランとしては比較的安く良心的です。 ◆その他の情報 教会に隣接したレストランということで、土・日曜日・祝日は、披露宴の予約で埋まっていて、個人客は平日、日曜日の夜でないと、なかなか利用できないようです。 ラ・ロシェルはレストラン・ウエディングに力を入れているようで、専門の別会社(有)ヒロプランニングがあります。 ラ・ロシェルのページへ |