◆場 所(渋谷区恵比寿3−29−16 ABC ANNEXビル3F) JR恵比寿駅東口で降りて、恵比寿ガーデンプレース方面に動く歩道で向かいます。歩道が終わったところで屋外に出て、恵比寿ガーデンプレース沿いの道を左に曲がります。右手に恵比寿ガーデンプレースを見ながら進み、最初の交差点(角に交番、日仏会館があります。)で右折し、数十m位進んだ通りの左手のビルの3Fです。ちょうど恵比寿ガーデンプレースのサッポロビール本社の裏手、ウェスティンホテル東京の並びにあります。駅から徒歩で7〜8分位です。 地図はこちらです。 ◆最寄り駅 JR山手線・地下鉄日比谷線 恵比寿駅 ◆電 話 03−5475−6127(FAX 03−5475−6128) ◆営業時間 ランチ 11:30〜14:00(L.O.) ディナー 18:00〜22:00(L.O.) 火曜日休み ◆雰囲気 レストランのある建物のファサードは、写真ではわかりにくいかもしれませんが、六本木や西麻布にでもありそうな、一風変わったデザインです。1Fの右端にエレベータがあり、3Fに上がると、正面にガラス扉のレストランの入口、右手にレストルーム(入口のガラス扉の外になります。)があります。 ガラス扉を開けて入ると、すぐにダイニングルームで、右手に厨房(コンパクトな印象です。)があります。ダイニングルームは入口から見て逆L字型で、写真のように黄色のファブリックの椅子とテーブルが並んでいます。すべて同じデザインの椅子を使用していますので、ベンチシートはありません。 シェフの友人のグラフィックデザイナーに依頼したという、フレンチレストランにしては珍しいインテリアで、床は白大理石、壁は黄色と白の塗装で、初めて訪れると黄色が刺激的な感じがするかもしれません。ただ奇抜なデザインのインテリアというわけではなく、テーブルクロスも白なので、すぐに慣れますし、落ち着いて食事を楽しめる雰囲気にまとまっています。他にないインテリアですので、かえって後々まで印象に残る時間になると思います。壁に飾られた、黒をバックに撮影された植物の写真も、このインテリアにうまく調和しています。 テーブルの間隔はそれほど広くなく、天井もそれほど高くない(写真のように一部高くなっています。)ので、人が多いと多少狭苦しい感じがするかもしれませんが、価格を考えると十分なスペースを確保していると思います。 椅子は黄色のファブリックを使っていますが、ベルクロで止めてあるだけなので、汚れたら交換可能なはずです。テーブルは丸テーブルもありますが、二人用の角テーブルは、レストランでよく利用される金属脚のものです。 照明はハロゲンタイプのダウンライトと銀色のブラケットを使っています。テーブルの位置を客数に応じて変えているようなので、テーブルの上が明るいところもあれば、少し暗いところもありますが、食事を楽しむのには、十分な明るさでしょう。 静かな音量でクラシックのポピュラーな曲のBGMが流れていました。 テーブルウェア関係は以下のものを使っています。ネルのクロスを貼ったテーブルに黄色のクロスと白のクロスを重ね、食器は『ベルナルド(クラブ・ミストラルのシェフのお店はベルナルドを使うことが多いようです。会誌に広告も載っていますし、安く手に入るのでしょうか?)』と『リチャード・ジノリ』、カトラリーは『シャンブリー・トロワ』、水・ワイングラスは容量の大きな『スピゲラウ』ですので、ワインを楽しむのに適しています。 レストルームは前述したように、入口の扉の外のエレベータホール(といってもそれほど大きくないですが)にあり、男女兼用です。床は白大理石、壁は白で、生花が飾られた小口タイルを使った洗面化粧台があり、ペータータオルの用意がありました。コンパクトにまとまっていますが、清潔感があります。 フロアのサービスはメートルドテル、マダム(シェフの奥様)、女性一名の計三名が担当している時もあれば、メートルドテルと女性の二名だけで担当している時もありました。三名の場合は、席が半数ほど埋まった状態で、L字型のダイニングルームという不利な条件で、料理の出される間隔、テーブルへの目配りに特に大きな問題はなく、丁寧にサービスしてくれました。二名の場合は、テーブルへの目配りが少し不足しますが、パンを勧めてくれるなど、丁寧な応対は変わりませんし、料理に関して質問しても、メートルドテルが的確に説明してくれます。マダムがいらっしゃる場合は、笑顔で話し掛けてくれるなど、温かな接客はとても気持ちの良いものです。高級店によくある堅苦しいサービスではなく、フレンドリーな応対ですので、フレンチレストランというと身構えてしまう人にも向いています。レストルームを利用した後に入口のガラス扉を開けてくれたり、出店時もコートを着る手伝い、エレベータを呼んでくれるなど、木目細かくサービスしてくれます。出店時には、シェフ、メートルドテル、マダムが丁寧に挨拶してくれるなど、最後まで気持ち良く利用できました。 ◆価 格 ランチ ¥2,000(土・日・祝祭日はなし)/¥2,800/¥3,800/¥5,000 ディナー ¥4,800(アミューズ、前菜、本日のスープ、魚または肉料理、デセール、飲物、プティフール) ¥6,000(アミューズ、前菜二品、本日のスープ、魚または肉料理、デセール、飲物、プティフール) ¥7,500(アミューズ、前菜二品、魚料理、お口直しのシャーベット、肉料理、フロマージュ、デセール、飲物、プティフール) ¥9,000(シェフのおまかせコース) アラカルトはありません。 サービス料 10% ◆料 理 料理はアラカルトの用意がなく、上記の構成のコース料理になっています。¥4,800、¥6,000のコースでもポーションに配慮してありますので、普通の人には十分な量になっています。料理によっては追加料金が必要になりますが、前菜、魚料理、肉料理、デセールすべて数品の中から選択してコースを組むプリフィクス・スタイルになっていますので、料理を選ぶ楽しさがありますし、アラカルトでコースを注文する時のように、合計金額がわかりにくいこともありません。 料理の傾向としては、シェフのオリジナルなアイデアを入れた意欲的な料理で、変化に富んでいます。素晴らしい味に昇華している料理もたくさんありますが、私達の好みとは、ちょっとずれているかなと思われる料理もありました。個人的にはこのレストランの料理のように、オーソドックスな安定した料理より、いろいろな試みにチャレンジした料理は好きですし、新しい味の発見につながり、とても楽しいものです。特に前菜と肉料理に興味深い料理が並んでいて、ジビエの季節には追加料金で、いろいろな肉料理が楽しめます。 アミューズの『卵のショーフロア 甘酸っぱいカラメルがけ』は、この店の定番になっているようですが、よくかきまぜて食べないと、シェリービネガー入りの甘酸っぱい味のカラメルと塩のバランスがあまり良くありませんので、よくかき混ぜて食べてください。 アミューズの『石ガレイの燻製 洋ナシ添え』は、とてもさっぱりした一品で、クルミ風味のオイルが、スモークされた石ガレイによく合います。 トリュフのシーズンには、アミューズとして『フォアグラのフラン トリュフソース』の贅沢な一品をサービスしてくれることもあります。 前菜の『下仁田葱と若鶏の燻製 テリーヌ仕立て アセロラのソース』は、スモークされた若鶏と下仁田葱のサッパリ感がよく合います。テリーヌの上にはトリュフが、下にはレンズ豆が敷いてあり、アセロラのソースも酸味は強くなくまろやかな仕上がりです。レンズ豆というと、イタリアンで使われると、どこか素朴なイメージがありますが、この料理では、洗練された印象があります。 前菜の『三陸産牡蠣の蒸し焼き パセリ風味のシャンパンソース』は、牡蠣の殻を開けて、直ぐにオーブンで蒸し焼きにしたので、肉厚の牡蠣のジューシーさがよく保たれていました。ソースは意外にも生温かく、オクラを周囲に配し、牡蠣の下にはほうれん草を付け合せた、きれいな盛り付けです。パセリ風味のシャンパンソースは、パセリのくせはあまり強くなく、まろやかに仕上げていました。 前菜の『才巻きエビとセロリの冷製ゼリーよせ テリーヌ仕立て』は、とても美しいテリーヌ仕立てで、才巻きエビの甘さとゼリーの風味がうまく調和していました。人参、セロリ、トマト、ほうれん草など、使っている野菜も多彩で、インパクトは少ないかもしれませんが、爽やかな一品です。 前菜の『だちょうフィレ肉のカルパッチョ仕立て ナツメグ風味』は、フレンチでは珍しい、だちょうの肉を使ったシェフの意欲作です。だちょうの最も柔らかいフィレ肉の部分を、ワインなどを使って下味をつけて、カルパッチョ仕立てにしたものです。上に添えられたパルミジャーノ・レッジャーノが肉の旨味をより引き立てています。イタリアンのシンプルな牛肉のカルパッチョもおいしいですが、フレンチの手法が使われた、このカルパッチョも食べてみる価値のある一品だと思います。 前菜の『フォアグラのソテー リンゴ添えバルサミコ風味』(+¥700)は、メニューの中では比較的オーソドックスな一皿で、リンゴの甘さとフォアグラの相性は当然良く、蓮根の赤ワイン煮も添えられていました。個人的には、ソースの塩加減をもう少し控え目にした方が好きです。フォアグラとソースの存在感が大きいので、上に載せたルッコラの存在感は控え目です。 前菜の『豚ホホ、豚足、干し椎茸のパテ』には、メニューに書かれていないフォアグラが添えられていました。ちょっとサッパリ目のフォアグラですが、グリエして香ばしいパテの味を引き立てています。前菜としては量も充分でした。 前菜の『リー・ド・ヴォーと栗のパン粉焼き トリュフ風味』(+¥600)は、甘みのある栗のペーストにリー・ド・ヴォーを組み合わせた面白い一品で、マディラ酒の風味を効かせたソースとも良く合い、トリュフの香りが食欲を引き出してくれます。これも前菜としては量はたっぷりしています。 本日のスープの『赤カブのスープ』は、カプチーノ仕立てで、クリーミーですが、少し苦味を残したスープでした。スパイスが良いアクセントになっています。 本日のスープの『根セロリと干し椎茸のスープ』は、根セロリの風味だけをうまく引き出して干し椎茸と合わせ、まろやかに仕上げた魅力的なスープです。 またトリュフのシーズンには、本日のスープで、『根セロリのスープ トリュフ入り』を出してくれることもあります。これもカプチーノ仕立てのトリュフの風味が生きたスープでした。 魚料理の『オマール海老とリー・ド・ヴォーのフリカッセ』(+¥700)は、オマール海老には定番のアメリケーヌソースを合わせていましたが、ソースの塩気が私達には少々強く、オマール海老の甘さを損なっているように感じます。ただポワローの甘さは効果的ですし、エストラゴンの風味も生きています。オマール海老に比べて、リー・ド・ヴォーの存在感をもう少し高めてくれば、魅力的な料理になると思いました。 肉料理の『うずらとフォアグラのパイ包み トリュフ風味』(+¥1,000)は、トリュフのシーズンに食べたい料理で、ミンチ状にしたうずらとトリュフの相性が良く、フォアグラの存在感もしっかり出た料理でした。パイ包みにしたことで、トリュフの立ち上る香りがよりしっかりしたものになっています。ソースはトリュフとマディラ酒を使って仕上げています。 肉料理の『アンジュ産仔鳩のコンソメポシェ 内臓を包んだラヴィオリ仕立て』(+¥1,200)は、美しいロゼで火入れされた、とても柔らかいジュシーな仔鳩を使った料理です。細かく刻んだ内臓が入ったラビオリは、クセがそれほどないので、内臓が苦手な人にも受け入れられると思います。コンソメの味は抜群で、トリュフの微塵切りがそれをより引き立ています。肉料理として非常に完成度の高い一皿だと感じました。 肉料理の『鴨胸肉のロースト 赤ワインビネガー風味』は、肉の温度を保つために厚切りにした鴨胸肉ですが、材料が良いので厚切りにしても問題はありませんが、個人的には薄切りの方が好きです。火の入れ方は適切で、赤ワインビネガーのソースも程よい酸味で、鴨胸肉を引き立てています。付け合わせには山イモ、舞茸、菜の花を使っていて、バラエティに富んでいます。 パンに関しては、自家製のライ麦入りで、ほんのりフロマージュの風味をきかせ(と思っていましたが、フロマージュは使ってないそうです。)、粘りけのあるもの、と普通のバゲットをサービスしてくれます。どちらも温めてサービスされますが、やはり自家製の方が美味です。 フロマージュは全部で9種類用意してあり、各タイプ2〜3種類づつバランス良く品揃えしていますので、好きなフロマージュがなくて困ることはないでしょう。仕入れは『フェルミエ』からです。 デセールは、ワゴンからお好きな焼き菓子などを選ぶスタイルではなく、メニューから好きな皿盛りのデセールを選びます。デセールに関しては、下記の四品は素晴らしい出来栄えで楽しめました。 デセールの『栗のミルフィーユ ラム酒の香り』は、私達にはちょうど良い上品な甘さの、仄かにラム酒の香りがする、マロンペーストをたっぷり使ったミルフィーユでした。マロンペーストの中に、マロンがそのまま入っているのも、うれしい驚きです。盛り付けも造形的で、上に載せられたアイスクリームも上質でした。 デセールの『リンゴのパートフィロ包み焼き カルバドスのグラタン添え』は、メニューに書いていないバニラアイスクリームが別に添えられます。パイ皮のようなパリパリした食感のパートフィロが香ばしくておいしく、下に敷かれたカルバドスのグラタンもカルバドスがたっぷりきいて、リンゴのパートフィロ包みとの相性がとても良いものです。 デセールの『チョコレートのスフレ ピスタチオのアイスクリーム添え』は、熱々のチョコレートのスフレ、甘さを控え目にしたピスタチオのアイスクリーム、どちらも上品な味で、チョコレートとピスタチオの相性は元々良いので、大変楽しめるデセールです。作り置きできる焼き菓子をデセールにするレストランが多い中で、手間のかかるスフレをメニューに載せることに、シェフのデセールに対する熱意を感じます。 デセールの『洋なしづくしのデザート ジュレとソルベとシブースト』は、ひとつひとつはオーソドックスな仕上がりですが、洋なしを三種類のデセールで出してくれる、遊び心のある、楽しめる一品です。ジュレとソルベは果実味がしっかりして出ていました。 食後の飲物はコーヒー、紅茶、ハーブティーが選択できます。ミルクはきちんと温めて出されました プティフールもサービスされ、ホオズキとトマトを掛け合わせた果物のチョコレートがけ(とても美味ですが、サービスできるシーズンがあります。)、生チョコ、バターをたっぷり使ったクッキーの3種類でした。 ワインに関しては、ボルドーの赤、ブルゴーニュの赤が20種類位、コートドュローヌなどが数種類、白が10種類位の品揃えです。シャンパーニュも9種類あり、この価格帯のレストランとしては、充実しています。ハーフボトルも赤・白で数種類ありました。価格は¥5,000〜¥40,000と幅が広いですが、中心の価格は¥8,000〜¥15,000ですので、料理とのバランスが取れています。なお予約の時に申し込み、開栓料を払えば、ワインの持ち込みも可能になっています。ワインリストも日・仏併記でプリントされていて、ワイン初心者でも見やすく、選びやすいリストになっています。 ◆その他の情報 昭和39年生まれの島田シェフは都内のフレンチレストランで働いた後、渡仏、パリの『ルキャ・カルトン』(ミシュラン三つ星)、『アルページュ』(ミシュラン三つ星)などの一流店で働いています。帰国後は『ロアラ・ブッシュ』、池袋『トラン・トワ33』の料理長(この当時、フジTV『料理の鉄人』に出演しています。)を経て独立し、98年3月にこの店をオープンしています。クラブ・ミストラルの会員です。 店名の”イレール”は”非現実な”という意味で、新感覚のフランス料理を非現実的な空間で提供しようという、シェフの意図が込められています。 メニュー、ワインリスト、レストランのパンフレットもすべて黄色を基調にデザインされています。 クラブ・ミストラル イレールのページへ グルメ・ナビゲーター(ぐるなび) イレールのページへ |