クリニャンクール(フランス料理)


◆場 所(港区西麻布4−3−10 宇田川パレスB1F)
広尾駅の3番出口から外苑西通りを西麻布方面に向かいます。日赤下の交差点で左折し、最初の角を右に曲がって200m位進んだ右手にあるビルの地下にあります。駅から徒歩8分くらいです。
かっての『ひらまつ亭』をご存知の方は、そのレストランのあった場所です。

◆最寄り駅
地下鉄 日比谷線 広尾駅

◆電 話
03−5469−0888(FAXも同じ番号です。)

◆営業時間
12:00〜14:00(L.O.)/18:00〜23:00(L.O.)
   日曜休み

◆雰囲気
レストランへ幅の狭い階段を降りていくと、途中から左側が白の格子のあるガラス窓になっていて、地下に降りるとすぐにレストランのドアになります。レストランに入ると左手がダイニングルーム、正面がサービスカウンターと奥にレストルーム(男女兼用)、右手にカウンター席(ほとんど使われていないようです。)と厨房(オープンキッチンではありません。)になります。
インテリアは、女性向きのピンクを基調としたエレガントな内装で、約30席ほどの広さのダイニングルームです。奥に向かって右側がベンチシートと金属脚のテーブルの組み合わせの2人用席、反対側に4人用のテーブル席が並び、中央に配膳台があります。隣とのテーブルの間隔は狭めですが、隣席に予約がない場合、メートルドテルが隣のテーブルをくっつけて広くしてくれました。椅子はどれも同じものを使っているようですが、座り心地は悪くありません。
壁はビニールクロス、床は濃茶のフローリングで、中央に配膳台があり、ベンチシートの隅の棚には、シャトー・ラトュールの空瓶、ミシュラン・ガイドブック、ゴーミヨ・ガイドブックなどが並んでいます。
なお入口の白の格子のガラス窓と反対側も同じようなデザインのガラス窓があり、中は鏡になっていて、上から照明で少し明かるくしています。

照明に関して、ハロゲンランプのスポットライトとダウンライトを使って、テーブルをライトアップしてますので、料理の盛付けは映えるようになっていました。ただエレガントなインテリアの割に、どことなく活気のない雰囲気に感じられるので、もう少し全体を明るくした方が良いように感じます。天井が少し低く、開放感があまりない欠点も、ある程度カバーできるのではないでしょうか?BGMは中世の宗教曲などが、壁に埋め込まれたスピーカーから、気にならない音量で流れています。
レストルームは白を基調としたインテリアで、腰壁と床に白のタイルを使っています。広さは十分で、ハンドバッグが置けるように、椅子を用意してあるなど、親切な配慮が見られます。洗面カウンターには、ペーパータオル、ティッシュペーパー、液体石鹸の用意がありました。スピーカーもあるので、ダイニングルームと同様にBGMが流れています。

テーブルウェア関係は以下のものを使用しています。クロスはネルのクロスの上にクロスを2枚、食器はクラブ・ミストラル御用達(?)のベルナルドを中心として、クリストフル、レイノー、国産などの高級食器を使っています。ワイングラスは容量の大きなスピゲラウで、カトラリーはLIAISONというメーカーのものでした。テーブルの上にはプティフラワーも置かれています。

サービスに関しては、メートルドテルが、一人で頑張っているといった印象で、料理の説明、ワインのサービスとも的確で、いろいろな質問にも丁寧に答えてくれますす。厨房のシェフが、サービスをサポートすることもあります。席が3割ほど埋まった状態で、料理の出される間隔は適切でした。ただ基本的にサービスは、メートルドテル一人ですので、同じ時間に何組ものお客が来て、満席状態になると、注文等が滞る可能性はあります。宮本シェフは、以前は出店時に軽く挨拶する程度でしたが、各ターブルに挨拶に回っていろいろ話しをしてくれ、丁寧な応対は好感がもてます。

◆価 格
ランチ  ¥3,500/¥5,000
ディナー
  ¥6,000(アミューズ、前菜の前の一品、前菜、スープ、魚または肉料理、デセール、食後の飲物、プティフール)
  ¥8,000(アミューズ、前菜の前の一品、前菜、魚料理、肉料理、デセール、食後の飲物、プティフール)
  ¥10,000(シェフのおまかせコース)
  また『ワイン好きな方のために』¥4,800(二名より)のコースもあります。
   アラカルトもあります。     サービス料 10%

◆料 理
ディナーコースの¥6,000と¥8,000は前菜、魚料理、肉料理、デセールをアラカルトのメニューからお好きなものを選ぶことができます。料理によっては追加料金が必要ですが、選択肢は多い(3〜7種類)ので、選ぶのに困ることはないでしょう。特に好きな料理を、たっぷりとしたポーションで食べたいのではないのなら、アラカルトではなくコースを注文した方が、料金的にもリーズナブルですし、料理のバラエティに富んでいると思います。料理の写真を見て、メインの料理のポーションが少な目と感じる人は、フロマージュを注文するか、¥8,000のコースにすれば、かなりお腹がいっぱいになると思います。
メニューを見ると、自家製腸詰め、内蔵料理など力強い料理もありますが、以前よりソフィスティケートされた料理が多くなったように感じます。どの料理も素材を重視し、その持ち味をくずさずに、シェフのアイデアをいろいろ加えた料理は、とても楽しめます。

アミューズは、豚のリエットとブーダン・ノワールで、ビストロ的ですが、比較的あっさりと上品に仕上げていて、巷のビストロの素朴な味とは一味違う感じです。
前菜の前の一品は、コンソメジュレの中にグリーンピースのムース(とてもきれいな色です。)を一番下に敷き、オマール海老、帆立貝、サーモンを入れて、キャビアをのせた魅力的な一皿です。それぞれの素材本来の味が充分主張しながら、コンソメジュレとの味のまとまりも良い料理でした。

前菜の『オマール海老のお菓子仕立て 胡瓜のスープ添え』は、パートフィロではなくラビオリでオマール海老を包んで、青臭さの全くない胡瓜のスープで仕上げた料理です。瓜系の野菜の青臭さが苦手な人にも充分楽しめます。クリーミーに仕上げたスープ(胡瓜の風味は充分残っています。)はオマール海老の甘さとの相性も良く、盛付けもシンプルですが、ていねいです。
前菜の『フォアグラとトリュフの一口コロッケ』(+¥600)は、手でつまんで食べますが、中が熱くて、ジューシーなコロッケで、中身がこぼれないように角から食べます。ポートワインの甘さと生クリームがフォアグラと良く合います。非常に細かくして入れたトリュフの香りは微妙で、フォアグラの存在感が支配的です。フランスの名店『エスペランス』の料理をアレンジしたものと言われています。
スープの『レンズ豆のカプチーノ仕立て』は、生クリームがきいた、とてもまろやかな味を想像していましたが、意外にも胡椒をきかせた、スパイシーな味でした。しかしレンズ豆の風味はしっかり残っていますし、カップの底にはレンズ豆が入っています。

魚料理の『江戸前穴子、帆立貝、ワイルドライス、フォアグラの一皿』(+¥600)は、帆立貝、ワイルドライスを穴子で巻いたものに、フォアグラのソテーをのせ、ポルト酒のソースで仕上げています。このレストランの定番料理で、いろいろな素材を使っていますが、味のバランスが良く、コリアンダーの香りも食欲をそそります。
肉料理の『自家製腸詰め(アンデュイエット)クリニャンクールスタイル』は、熱を加えてとろけさせた、スイスのラクレットがのったハンバーク状の腸詰めで、ソースはほとんどなく、ペースト状のトマトと下に敷かれたほうれん草と一緒に食べます。最初はフロマージュの臭い匂いが鼻につきますが、食べて見ると、それほどクセはありません。慣れていない人には、少し脂っこい感じがするでしょうが、香辛料をきかせた力強い料理は印象に残ります。なおお皿がかなり熱いので、食べる時は充分注意してください。

フロマージュ(¥800〜)は、ロックフォール、エポワース、シェーブルタイプなど、各タイプをまんべんなく8種類揃えています。メインの料理を食べ終わった後に、フロマージュを勧めないこともありますので、食べたい人はメートルドテルに注文しましょう。
パンは自家製の自然酵母の素朴なもので料理に合います。エシレも別料金で注文できますが、パン自体の味が良いので、特に必要とは思いませんでした。日によってシェフの好みでハーブやゴマを入れたりと、内容を変えているようです。いつも温めてからサービスしてくれました。

デセールは数種類の皿盛りデセールから選択できますが、専用のメニューはなく、料理の説明を聞いて選ぶスタイルでした。
リンゴ、松の実などを入れたパイのデセールは、蜂蜜とバニラのアイスクリームが添えられます。ソースは少ないですが、アプリコットを使っていて、カリカリに仕上げられた熱々のパイの中には、レーズンを細かくしたものも入っていました。比較的こってりした甘さのデセールです。
吉野の葛きりとフルーツ ココナッツのスープのデセールは、オレンジ、キイウイ、バナナなどを細かく切ったものと葛きりがココナッツミルクに入っていて、まるやかな甘さはとても上品なまとまりです。

食後の飲物はエスプレッソ、コーヒー、紅茶、三島落合ハーブ園のドライハーブをクリニャンクールでブレンドしたハーブティーが選べ、ミルクは温めていませんでしたが、プティフールがサービスされます。

ワインに関しては、ブルゴーニュ赤(¥5,000〜¥52,000)、ボルドー赤(¥6,000〜¥60,000)がそれぞれ二十数種類、ロワール赤、コート・デュ・ローヌ赤、その他が、それぞれ数種類、ブルゴーニュ白(¥5,000〜¥20,000)が十数種類、ロワール白、ボルドー白、その他が、それぞれ数種類の充実した品揃えでした。シャンパーニュも二十数種類ありました。価格帯が広いですが、ブルゴーニュ、ボルドーは¥8,000〜¥15,000が中心です。価格的にはレストランとしては平均的と思います。なお持ち込み料を払えば、ワインの持ち込みも可能です。

◆その他の情報
オーナーシェフは若手シェフの集まりであるクラブ・ミストラルの初代会長(任期交代制)、宮本雅彦氏です。
宮本氏は’88年に渡仏して『ミッシェル・ゲラール』、『ジョルジュ・ブラン』などの名店で修行、’91年に帰国し、『クラブニュクス』の料理長を経て独立、’96年2月のこの店をオープンしています。
店名は、パリ周辺の有名な蚤の市の名前です。ちなみにロンドンはポート・ベローがアンティークの蚤の市として有名です。
車で行く場合、外苑西通りのパーキングを利用すると良いでしょう。
姉妹店として、近くに『ワインバー デュ・ヴァン・ミヤモト』(TEL 03−5469−3277)があります。


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