◆場 所(港区西麻布1−6−4) 六本木駅二番出口より六本木通りを西麻布方向に向かいます。環状3号線の上を越えて、六本木六丁目のバス停を越して2本目を右折します。最初のT字路で左に曲がって十数m位先の右手に見えるイオニア式の柱のある白亜の建物です。レストランの看板はないですが、写真の建物は目立ちますので、すぐにわかります。駅から徒歩5〜6分程度です。 地図はこちらです。 ◆最寄り駅 地下鉄 日比谷線・大江戸線 六本木駅 ◆電 話 TEL 03−5412−7177(FAX 03−5411−0687) ◆営業時間 12:00〜13:30(Last Order)/18:00〜21:30(Last Order) 無休(年始・夏期休暇8月1ヶ月を除く) ◆雰囲気 建物に入る前に、まずこのファサードを楽しみましょう。周囲の風景はロンドンとは全く異なりますが、この建物はまさしくロンドンの高級住宅街の館を再現しています。ロンドンのスペンサー邸(セントジェームス宮殿のそばにあり、内部を見学できます。)の豪華な館には及びませんが、ジョージアン様式を忠実に再現したこの館は一見の価値があります。1995年開業ですが、当時の経済情勢で、このような豪華な館が建設されたのには驚きです。 レストランに入ると横長の玄関ホールがあり、正面のダイニングルームに入る扉の横に、英国の有名なフラワーデザイナー ケネス・ターナー デザインのドライフラワーとプリザーブドフラワーを組み合わせたアレンジメントが置いてあります。右手にレセプションとウェイティングルーム、左がレストルームと2・3Fへの扉になります。 予約をチェックしてもらうと、右手のウェイティングルーム(二番目の写真)に案内されます。ウェイティングルームには大理石のマントルピースと、バーカウンターがあり、英国製のソファと椅子がマントルピースを囲んでいくつか置いてあります。ここで食前酒を楽しむことができますし、申し出れば、メニュー、ワインリストを見る事もできます。食事前のひとときを盛り上げてくれる素敵なスペースです。サーモンピンクの色の壁も嫌みな感じではなく、このスペースにうまく溶け込んでいました。カーテンも英国調の落ち着いた高級なファブリックを使用しています。棚に飾られたヴェネチアンガラスも、この空間なら美しく映えます。英国の貴族の館に案内されたような雰囲気です。 食卓の準備が整うと、ダイニングルームに案内してくれます。ダイニングルームはB1Fにあり、1Fの正面の扉を開けて入ると、2階分が吹き抜けの大きな空間が目の前に広がり、とても印象的です。 40席ほどのダイニングルームは左右対称で、両袖の壁には金箔張りの大きな鏡と女性の肖像画、ボヘミアンガラスのシャンデリアとブラケット、イオニア式の柱が両脇にデザインされた大理石の暖炉、白い壁の装飾と磨き込まれた板張りの床とともに、とてもゴージャスな空間を演出しています。グランメゾンに相応しく、隣との席の間隔は広々していて、天井も高く、非常に余裕がある空間で落ち着いて食事が楽しめます。 左右にある曲線の階段を降りると、1F入口の下にB1Fの厨房への入口があるのに気がつきます。ただ美しい手すりの階段の横に置かれた英国のロジャースのスピーカーがこの美しいインテリアを若干損なっているように思います。ジョージアン様式のインテリアに、モダンデザインのスピーカーが合わないことは明白で、壁に埋め込み式のスピーカーを使うなり、キャビネットに入れて隠すような工夫をした方が良いと思いました。欧米の最高級ホテルでは、電話以外の電気製品(TV、ミニバーなど)は必ずキャビネットに入れます。多分、披露宴をやるようになって、後から設置したと推測されますが、ここまでジョージアン様式に徹底してこだわったなら、こうした細部までこだわっていただきたいと思います。 椅子はジョージアン様式のマホガニーのラダーバックのデザインのものを主に使っており、クッションは少なめですが座り心地はしっかりしています。ホールの中央にはグループ客が利用する場合は、ジュージアン様式のマホガニーの大きなテーブルが設えてあり、こちらはテーブルトップの美しさを見せるためか、ランチョンマットを使用していました。こちらの椅子はマホガニーのチッペンデールのデザインのものを使っています。また手荷物が置けるようにと、ジョージアン様式のドールチェアが用意してあるのは親切です。このドールチェアの座面のファブリックが、通常の椅子とファブリックを揃えてあるなど、細部にまでこだわっていました。 照明に関して、シャンデリアとブラケットの照度をかなり落としている(ランチでは明るくしていました)ので、ダウンライトと卓上のリキッドキャンドル(形状がキャンドルに合わせてある、おもしろいものです)が明るさを補っています。ただもう少し主役の料理を引き立てるために、卓上を明るくした方が良いように感じます。また二層の吹き抜けのため、天井のスリットと暖炉の暖房だけでは、冬場は少し寒く感じました。 英国にこだわっているためか、テーブルクロスはダマスク織りのアイリッシュリネン、カトラリーとアンダープレートは、英国王室御用達ジュエラーのガラード(現在はアスプレイと合併して、アスプレイ・ガラード)の銀器を使用していました。同じく英国王室御用達で銀器で有名なマッピン&ウェップは三越が扱っているので比較的一般的ですが、ガラードは確か西武ピサしか扱っていませんので、日本では銀製品はあまり見かけません。食器は以前は英国のウエッジウッドだけでしたが、シェフの希望のようで、ナルミやニッコーのスタイリッシュな白の食器も使われるようになりました。グラスはフランスのバカラを主に使いますが、ワインをボトルで注文すると、リーデルを用意してくれます。 またデセール用のワゴンは重厚なデザインの豪華なものを使用しています。 レストルームは1Fの廊下をはさんで、男性用、女性用に別れますが、インテリアは意外とシンプルです。ただあまり豪華でデコラティブにすると、様式の統一性が損なわれるので、このインテリアの方がこの館に相応しいと思います。白でまとめられた衛生陶器(フランス製などを使用)は清潔感があります。男性用は洗面台に石鹸、液体石鹸、ハンドタオルの用意がありました。 サービスはグランメゾンに相応しく高水準のサービスです。入店時はレセプションの女性が笑顔で迎えてくれてウエイティングルームに案内してくれます。ダイニングルームに案内してくれる時は丁寧で、席につくとナプキンを膝にかけてくれました。フロアのサービスも、とても丁寧で、料理の流れをうまくコントロールして、優雅に的確に行われます。料理の内容について、突っ込んだ質問をすると、スタッフによっては、厨房に聞きにいったりすることもありましたが、よく気が付き、お客様を貴族のように扱ってくれます。せっかく高いお金を払うのですから、料理、ワインについてどんどん相談した方が良いでしょう。このレストランならその期待にこたえてくれるはずです。手がすいてくれば、スタッフと銀器やインテリアなどの話もできるなど、フレンドリーな対応は、堅苦しくなりがちなグランメゾンの雰囲気を柔らかくしてくれます。出店時も非常に丁寧で、タクシーに乗るまで見送ってくれるなど、最後まで気持ちよく利用できました。 ◆価 格 ランチ ¥5,500/¥7,500 ディナー コース ¥15,000 アミューズ、前菜、魚料理、肉料理、フロマージュ、アヴァンデセール、デセール、食後の飲み物、小菓子/¥25,000 アラカルトの主な価格帯 前菜 ¥4,000〜¥6,500/魚・肉料理 ¥6,500〜¥8,000 サービス料 10% ◆料 理 ¥15,000のディナーコースの料理は、内容は決められていましたが、追加料金を払えば、他の料理とも交換が可能です。基本的にアラカルトの料理のポーションを調整して、コースを組んでいました。フロマージュもコースに組み入れられ、量的には普通の人なら充分な量と思います。またアラカルトは料理によっては小ポーションも選べるようになっています。ただ鳩などは一羽で調理するので、小ポーションは選べません。料理の傾向としては、グランシェフが久高章郎氏になってから、ハーブや各種調味料の使い方に新しい傾向が出るようになり、イベリコ豚などの素材も取り入れ、オーソドックスなフレンチから、シェフの個性がより前面に出るようになったと思います。料理名もかなり詳しくなっています 前菜の『ランド地方から届いたホワイトアスパラガス,カナダ セントローレンス湾産オマール海老とイサキのマリネ,フルーツトマトとシェリービネガードレッシング,レモンバームオイルの香り,空豆,フレッシュハーブとパルメザンを加えたサラダ』は、上質のオマール海老を爽やかなハーブ、オイルで香りづけしたサラダです。サラダといっても、オマール海老と旬のアスパラガスはたっぷり入っており、一皿のボリュームもたっぷりでした。 肉料理の『ブレス産 鳩のロースト,数種類の胡椒の香り,シードルビネガー入りリンゴのチャツネ,ジュラ産 マクヴァンを加えて仕上げた鳩のジュ,腿肉のコンフィと鴨のフォアグラ,レンズ豆と共に』は、数種類の胡椒を使っていますが、オーソドックスな鳩のローストです。鳩のジュは濃い目の味付けで、柔らかい肉質の鳩はきれいに火入れされていました。別に用意された腿肉のコンフィと鴨のフォアグラもしっかりしたボディの赤ワインとよく合います。 フロマージュは白かび、青かび、ウォッシュタイプ、シェーブルなど、すべてのタイプを揃え、各タイプごとに3種類位用意してあり、状態もとても良いものです。充分、堪能できますので、ワインを残しておいてください。 デセールはコースの場合、コンポート、タルト、プリン、ムースなど種類が多く、ワゴンからお好きなだけ選ぶことができます。どれも新鮮な素材をふんだんに使い、素晴らしい出来栄えですが、他のレストランのデセールに比べてかなり甘さを抑えており、素材本来の味を生かそうとの意図でしょうか? 食後の飲み物はコーヒー、エスプレッソ、紅茶(いろいろな茶葉が選べます)とハーブティー(フレッシュではないですが、数種類から選べ、ブレンドもしてくれます)が選べ、八角で香り付けした、熱々のマドレーヌやプティフールがサービスされました。 ワインに関してはリストを見ると品揃えは文句なく、ボルドー、ブルゴーニュの主要な銘柄は勿論のこと、ペトリュスからアルザスワインまで、シャンパンもクリュッグ、テタンジェなんでもありという感じで選択に迷います。¥12,000〜¥25,000のワインの品揃えが多く、レストランの価格としては妥当な金額です。グランメゾンに相応しいワインリストで、開栓料を払えば、ワインの持ちこみも可能ですが、その必要はないでしょう。 ◆その他の情報 1998年から、フランスのミシュラン三ツ星レストラン『オーヴェルジュ・ド・レリダン』で働いていた久高章郎氏がグランシェフを担当しています。 写真のように、レストランの正面が6台分の駐車場になっています。予約はできなくて先着順になりますが、披露宴以外は満車になることはほとんどないようです。 ダイニングルームでは写真撮影はできません。携帯電話の使用も不可です。 男性はジャケット、ネクタイの着用が必要です。 2Fには会食や披露宴の控え室などに使える個室(個室料が必要)が二室あります。小さいほうの一室(ルドゥテのボタニカルアートが飾られた部屋)は、家具のデザインはフランスの新古典様式のものを使っていました。 その他にバスルーム(ピンクの大理石を使用した大きくて豪華なバスルームです。)付きの寝室が幾つかありますが、住居地域の用途制限ため、個室以外を営業に利用できないそうです。 ザ・ジョージアン・クラブのページへ |