ヴォルガ VOLGA(ロシアン・キュイジーヌ)


◆場 所(港区芝公園3−5−14)
神谷町駅の出口を出て飯倉方面に向い、飯倉の交差点で東京タワーのある芝公園方向に向って左折(六本木方向に右折するとロシア大使館がすぐです。)します。最初の信号の三叉路の左手に、写真のようなロシア宮廷風の印象的な建物があります。駅から徒歩6〜7分程度です。
地図はこちらです。


◆最寄り駅
営団地下鉄 日比谷線 神谷町駅

◆電 話
TEL 03−3433−1766(FAX 03−3433−1767)

◆営業時間
ランチ 11:30〜14:00(L.O.)
ディナー 17:30〜22:30(L.O.)
 日曜日休み

◆雰囲気
古くから東京タワー沿いに佇むロシア料理店で、その異彩を放つ外観とロシアの宮廷をイメージしたインテリアで有名です。写真の建物の右にはメニューが掲示してあります。1Fの建物はエントランスのみで、レストランのスタッフはおりませんので、写真の重厚な内装の階段を降りて(踊り場で左右に別れますが、どちらを利用しても構いません。)地下1階に向います。初めてこのレストランを訪れると、この階段を利用しただけで、「東京にもまだこんな空間があったのか。」というような気分になります。地下1階の階段を降りたところに、甲冑が飾ってありますので、見逃さないようにしましょう。
階段を降りて右に向うと、レセプションカウンターのあるウエイティングコーナーで、待ち合わせに利用できます。このコーナーには暖炉が設えてあり、サモワール、梟の置物、マトリョーシカなども飾ってある楽しいコーナーです。こうしたコーナーはともすると、民芸品をいくつも置いた温泉旅館のロビーと同じになってしまいがちですが、そこは本格的なロシア宮廷風の内装の迫力のためか、待ち合わせに使っても、楽しい一時を提供してくれます。

ダイニングルームはウエイティングコーナーから一段低くなって繋がっており、長方形の大型(100名は着席できます。)で、右手すぐにバーカウンター、左右の壁際には真紅のファブリックのボックスタイプのベンチシート、一番奥正面に小さ目ですが舞台(生演奏が入ることもあるようです。)があり、右手奥に厨房への入口(厨房はこのフロアより下のB2Fにあります。)、左手奥にレストルームがあります。中央のフロアは写真のようにテーブル席が並んでいます。
ダイニングルームを見渡して、何と言っても印象的なのは、エントランスから続く壁のゴールドのファブリックで、中にクッションが入っていて、ブローチのようなもので留めてあります。また写真のように壁に白いレースをかけた窓が設えてある(勿論地下なので開きません。)のもユニークで、赤くライトアップされて雰囲気を出しています。
古いレストランなので、壁などのファブリックを補修しているところもあり、古びた感じもしますが、これほど本格的なロシア的内装は他に見られないので、ヨーロッパの歴史あるホテルのように、少しづつ手直ししながら、大切に維持してもらいものです。床の真紅の絨毯は張り替えたらしく、とてもきれいにメンテされていました。

テーブルの間隔は充分な距離を確保していて、ゲリドンサービスが余裕をもってできるようになっています。両サイドのベンチシートは固めのクッションの、しっかりした造りのもので、座り心地は申し分ありませんでした。通常の椅子は見た感じでは軽量級のものなので、できたらベンチシートを予約した方が、ダイニングルームも見渡せ、楽しい一時が過ごせます。両サイドにボックスタイプのベンチシートを配し、舞台もあることを考えると、中央のテーブルや椅子を片付けて、ダンスもできるように考えて作られているように思います。

照明は主に壁のブラケットで周囲の明るさを確保し、中央はスポットライトと写真のような、笠付きのシャンデリアを使っています。中央は少し暗いように思いましたが、ベンチシート側のテーブルは食事するのは充分な明るさです。
舞台のそばの天井には大型のスピーカーが取り付けてあり、ジャズやレトロな曲のBGMが比較的大きな音量で流れていました。個人的にはもう少し音量を小さくし、ロシアの曲も流してもらいたいと思います。また舞台のそばには、ミラーボールが天井につけてあり、キッチュでレトロな雰囲気を醸し出しています。

テーブルウェアに関しては次の通りです。ビニールシートの貼られたテーブルの上にクロスが2枚、食器はニッコーで、カトラリーはTodaiのクラシックなデザインのものを使用しています。グラスは一般的なカットのない中容量のグラスですが、ワインをボトルで頼むと、ワインを飲むのに相応しい大容量のスピゲラウに交換してくれました。その他に灰皿、蝋燭が用意してあり、席につくと蝋燭に火を灯してくれます。

レストルームは男性用・女性用それぞれあり、男性用は壁に白のタイルを使っていて、少し古びた感じがしますが、充分広く、洗面カウンターには液体石鹸、ペーパタオルの用意がありました。

サービスに関しては、フランス料理の高級店ではないので、スタッフの人数は席数の割りに少な目ですが、席が6割方埋まった状態では、料理の出される間隔、テーブルへの目配りなど基本的なサービスはしっかりしていました。レセプションの対応も丁寧で、機転がききます。実際に料理をサーブする人のほとんどが、ゲリドンサービスやカクテルの手際も鮮やかで、知識も豊富でした。全体に応対はフレンドリーですが、節度をわきまえていて、基本的な技量もしっかりした、とても感じの良いサービスだと思います。

◆価 格
ランチ
 行っていないので不明です。
ディナー
 ¥4,800(プリフィクスメニュー)
  前菜、主菜、デザート、コーヒーまたは紅茶
 ¥6,900(トラディショナルメニュー)
 アラカルトの主な価格帯
  冷前菜 ¥1,300〜¥1,600/温前菜 ¥1,000〜¥2,500
  ザクースキ(キャヴィア付き前菜の大皿盛り合わせ 4名分) ¥12,000
  ロシア産キャヴィア(セヴルーガ、オセトラ) ¥7,800〜¥17,000
  魚・肉料理 ¥2,500〜¥3,300/デザート ¥800〜¥1,200
  サービス料 10%

◆料 理 ¥4,800のコースは、プリフィクスメニューで前菜、魚・肉料理が数種類から(アラカルトにある料理をピックアップしていました。)、デザートはメニューから好きなものを選択できました。¥6,900のコースはロシア料理で構成されたトラディショナルメニューで、内容は決まっており、品数も多くなります。¥4,800のコースは、数種類以外の他のアラカルトの料理に変更も可能で、ロシア料理も選択肢に入っており、かなり柔軟な組合せができました。

料理は”Russian Cuisine”と謳っていて、キエフ風チキンカツレツなどの伝統的なロシア料理もありますが、メニューを見ると『ランド産フォアグラのソテー 山芋のガレット添えトリュフソース』、『シャラン産鴨肉のキャベツ包み 鴨のジュのソース』など、フレンチとしか思えない料理がいくつもあり、イタリアンらしい料理もあります。純粋なロシア料理よりもこちらの方が多いほどです。アラカルトも冷前菜、温前菜、魚料理、肉料理、デザートそれぞれ10種類前後と豊富に用意してあります。

シェフはフレンチとイタリアンのレストランで経験を積んでいるようで、一般のロシア料理店とは一線を画した本格的なユーロピアン・キュイジーヌが楽しめます。料理の内容の割に比較的リーズナブルな価格設定ですが、使われている素材の質も高く、野菜はすべて有機農法のものを使用とメニューに記載されていました。
また主菜、デザートの中にはゲリドンサービスで仕上げる料理が幾つかありました。
以下の写真は¥4,800のプリフィクスメニューのコースの料理を一部変更したもので、代表的なロシア料理を選んでコースを組み立てていて、写真のようにどの料理も盛り付けは丁寧です。

アミューズは、赤座エビのムースで、コンソメのジュレが入っていて、赤座エビの風味も十分です。
アミューズは、鰹のタルタルで旬の素材を活かした風味豊かなものでした。
サービスで、『渡り蟹のビスク(クリームスープ)トウニーポートの香り』を、カップに少し用意してくれましたが、とても濃厚なビスクで、甲殻類の旨味が凝縮されていました。

前菜の『ボルシチとピロシキ』は、定番のロシア料理ですが、ボルシチはベトラーブの素朴な味わいが生きていて、サワークリームの適度な酸味が旨味を増しています。ピロシキは春雨が入っていて、意外とあっさりとした味付けの挽肉でした。なおピロシキは持帰り用も注文できます。
前菜の『オマール海老と帆立貝の磯のスープ(パン生地をかぶせた壺焼きスープ』は、ビスクを想像したのですが、比較的あっさりした味付けの魚介のスープでした。魚介の旨味は十分ですが、もう少し塩分を控え目にした方が好みです。

魚料理の『クレビャーカ(サーモンの包み焼き)』は、特別にデミポーションで注文した料理です。ロシアの伝統料理で、オーソドックスなソースで仕上げていますが、多少塩気が強いように感じました。サーモンとマッシュポテトをつぶしたもの、椎茸(?)の微塵切りが入っています。
肉料理の『シャシリク(骨付き仔羊の短剣焼き ウオッカの炎と共に)』は、厨房からウオッカの炎をつけた仔羊と野菜の短剣焼き持ってくるという楽しい演出で、ゲリドンサービスでお皿に盛り付けてくれます。ウオッカでフランベしたおかげで、香りがよく、酸味の効いたソースは美味で、仔羊と良く合います。丁寧にグリエされた仔羊の肉質はとても柔らかく、付け合せの野菜(ズッキーニ、プティトマト、パプリカ、ナス、長ネギ?、クレソンなど)は歯応えがしっかりしていて、野菜本来の味がでています。フィンガーボールも用意してくれました。
肉料理の『ビーフストロガノフ皇帝風』は、洋食屋のビーフストロガノフと同じ料理とは思えない、まさに皇帝風と言って良い仕上りです。牛肉は厚切りでとても柔らかく、少しスパイスを効かせています。この牛肉は明らかにソース(マイルドで美味)と一緒に長時間煮込んでいるのではなく、別に仕上げてからサフランライスの上に載せています。この料理も付け合せの野菜がしっかりした歯応え、旨味を持っていました。
パンはバゲットで、温めてサービスしています。バターは高梨乳業の無塩バターで美味です。

デザートの『アーモンドティユルの円形タルト ショコラムソー(温かいチョコレートソース)を乗せて』は、チョコレートと相性の良い大粒のアーモンドが入っていました。オーソドックスなピスタチオとの組み合わせですが、チョコレートソースは甘さを抑えた上品な味で、チョコレート好きな人にピッタリのデザートです。
デザートの『季節フルーツ(有機)のフランベ たっぷりのサバイヨンソースをかけて』は、ゲリドンサービスでフランベし、たっぷりサバイヨンソースをかけてくれる料理です。フルーツは山梨産の桃で、意外に中はレアで仕上げています。サバイヨンソースは甘さ控え目のとてもクリーミーなものでした。
デザートの『さくさく生地の特製林檎パイ カスタードクリームとシナモン風味のアイスクリーム添え』は、ユニークな立体的な盛り付けで楽しめます。パイは正しくサクサクとした仕上りで、林檎は甘さを控え目にしています。アイスクリームもシナモン風味なので、当然ながら林檎との相性も抜群です。
デザートの『フレーズデボワ(野いちご)の入ったクレームブリュレ 厳選したアールグレイティーの香りで』は、お皿を冷たくしてありました。洋酒がよく効いたフレーズデボワは酸味がおだやかで、表面のキャラメリゼと良く合います。アールグレイの香りはそれほど強くありません。

食後の飲物は、コーヒー、紅茶になりますが、勿論ロシアン・ティーも選べます。ジャムはきちんと別容器で用意してくれました。他のロシア料理店では始めからティーの中にジャムを入れてくる場合がありますが、ロシアでは、このVOLGAのように、ティーとは別に用意するはずです。

お酒の品揃えに関しては次の通りです。リストは食前酒・食後酒用とワイン用に別れていました。
カクテルに関して十数種類(¥800〜¥1,200位 それぞれカクテルストーリーが書いてある、楽しいリストです。)あり、さらにマティーニに関しては、ジェームズボンド(ご存知の方も多いでしょうが、ウォッカベースのマティーニで、通常ステアでミキシングするのを、シェークして作ります。映画でも「Vodka Martini,shaken,not stirred.」の有名な台詞でお馴染みです。)をはじめとして、10種類以上ものレシピを用意するというこだわりようです。
その他のアルコール類としては、ウオッカは、ロシア、スウェーデン、フィンランドなど20種類位(グラス¥500〜¥800位)、ジン、ライム、テキーラなどが20種類位(グラス¥800〜¥1,500位)、ビールが数種類、シェリー酒が3種類、ヴェルモットが10種類弱ありました。

ワインに関しては、オーソドックスな有名ワインを揃えたものではなく、独特の選択のワイン(銘柄ごとに説明が記載されていました。)を掲載しています。フランスワインが主で、赤が二十数種類(¥5,000〜¥23,000位)白が十種類弱(¥7,000〜¥15,000位)、シャンパーニュが十種類弱(¥8,000〜¥42,000位←Krug)でした。シャンパーニュはキャヴィアと合わせるため、高級なのものが多いですが、ワインは比較的リーズナブルで、料理の価格とバランスが取れています。

◆その他の情報
金曜日などの週末は、ベンチシートの席を指定する場合、予約した方が良いでしょう。
披露宴にも使われるレストランですので、席数は多いですが、土曜日は電話で確認してから利用した方が良いでしょう。




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