クイーン・アリスW−旧レストランW(フランス料理) 改装のため休業中


クイーン・アリスW レストランW ◆場 所(港区西麻布3−2−34)
六本木駅の1番出口を出て、六本木通りを西麻布方面に向かいます。WAVE、テレビ朝日通りを越えて、新生飯店を過ぎると左に曲がる一方通行の横道(クイーンアリス迎賓館の案内板があります。)がありますので、ここを曲がり、数十m進んだ左手にレストランがあります。隣がクイーンアリス迎賓館の建物になっています。六本木駅1番出口から徒歩10分位です。
地図はこちらです。


◆最寄り駅
地下鉄 日比谷線 六本木駅

◆電 話
TEL 03−5771−5888(FAX 03−5771−5889)

◆営業時間
ランチ 11:30〜15:00/ディナー 18:00〜23:00
  年末年始以外無休

◆雰囲気
『クイーン・アリス』の石鍋氏がオーナーとしてレストランを企画し、かってアークヒルズにあった『ル・マエストロ ポール・ボキューズ トウキョウ』の市川シェフを迎えて、1997/12にオープンさせたレストランです。なお2002年に市川シェフは独立し、白金に『シェ・トモ』(港区白金5−15−5/TEL 03−5789−7731)をオープンしています。
レストランは『クイーン・アリス迎賓館』の隣の建物(元は高級会員制のレストランが入っていたところ)で、エントランスは右上の写真のようになっています。レストランに入ると小さなレセプションがあり、予約リストをチェックしてくれます。右に行くとシャンパンバーとB1Fのダイニングルームへと続く階段があります。階段付近のスペースはとてもゆったりしていて、窓際の緑が南国風なのが非日常的な雰囲気を醸し出しています。
1Fのシャンパンバー(シャンパンバーの場合、レストルームはカウンターの一番奥にあります。)はウェイティングコーナーとして使えますが、カウンターのみで十数名程度の席数です。カウンターは曲線を生かした黒のエナメル塗装のようなもので、使っている椅子も豹柄(紺無地の時もあります。)でおしゃれですが、隣の席との間隔が少し狭いように思います。

クイーン・アリスW レストランW 食前酒を1Fのシャンパンバーで楽しんだ場合、食卓の用意が整うと、B1Fのダイニングルームに案内してくれます。緩やかな曲線の黒大理石(?)の上に絨毯を敷いた階段を降りると、左手に小さなバーカウンターがあり、右手奥に白のドレープしたファブリックの天蓋のついたガラス張りの円形個室があり、その奥にメインのダイニングルームがあります。またメインのダイニングルームの他にも、個室風なコーナーが左手奥に3室あり、一室は壁画が書かれています。ドアで仕切られた完全な個室ではないので、グループ客が個室を占拠すると、少々うるさいこともあります。
1Fも同様ですが、このレストランは平らな壁が少なく、どの壁も曲線を描いているのが印象的です。柱も単純な円柱ではなく、下の方が末広がりになっています。ガラス張りの個室をダイニングルーム入口付近に配置して、目を引かせるような演出も効果的ですし、エッチングガラス、大理石、御影石をところどころに使うのも良いアクセントになっています。地下なので多少天井が低いですが、天井に天使を描いたりと工夫しています。ただ初めて訪れると、わかりにくい構造のため、レストルームを利用する時に少し迷うかもしれません。

『クイーン・アリス迎賓館』もそうですが、ファブリックを使ったインテリアデザインは『クイーン・アリス』全体をコーディネートしている渡辺ゆり子氏の個性と考えられます。ただ『クイーン・アリス』はエレガントで女性向けなインテリアなのに対し、『W』は、元のレストランのインテリアにあまり手を加えていないので、アールデコを基調に、男性にも受け入れられるようなインテリアになっています。ただ最近の明るく開放的で、ナチュラルだが、ある程度高級感もあるフレンチレストランのインテリアに比べると、隠れ家風な少し重たいインテリアでもあるので、人により好き嫌いがでるかもしれません。

ダイニングルームには飾り暖炉が配置してあり、ドライのコニファーや天使の置物を置いたりと、『クイーン・アリス』と似たようなコーディネートをしていますが、装飾過剰気味で、あまりまとまりがない『クイーン・アリス迎賓館』に比べると、スペースをゆったり使っているので、グランメゾンにふさわしい高級感もあります。
メインのダイニングルームはゲリドンサービスが余裕をもってできるように、各テーブルの間隔はゆったりして、通路も広くなっています。テーブルの大半を壁に沿って配置することによって、他のテーブルでデクパージュする光景を楽しむことができるように配慮されています。ただテーブルは右の2枚の写真のように、配置をいろいろ変えているようなので、人によっては壁に向かって食事になるかもしれません。なおメインのダイニングルームの床は薄いグリーンの厚手の絨毯、ガラス張りの個室は黒の大理石と豪華です。
照明はシャンデリアやエッチングガラスの間接照明を使い、控え目な感じですが品良くまとめています。ただテーブルを明るくするような照明ではないので、テーブルの上は暗く、料理の盛付けの美しさを引き出すには、明るくした方が良いと思います。テーブルの上には蝋燭のランプもありますが、ほとんど明るさには寄与していません。ガラス張りの円形個室も天井全体が照明ですが、それほど明るくはありません。以前訪れた時より、レストラン全体が暗くなった印象を受けます。入店当初は小さな音量でシャンソンのBGMが流れていましたが、お客が入ってきて席が埋まると、流れなくなりました。

クイーン・アリスW レストランW テーブルは円形のテーブルが多いですが、大きさも充分でクロスも床までの長さあり、フランス製の高級なリネン(ルレ・ポルトー)の二枚重ね+ゴム系のパッドを使っているので申し分ありません。テーブルウェアに関しても、食器はウエッジウッド、グラスはウォーターフォード、ワイングラスはリーデル、カトラリーはクリストフル(ホテル仕様)と高級品を揃えています。椅子は豹柄と紺無地の二種類ありますが、座り心地は普通です。絨毯が厚いせいか、椅子の出し入れがあまりスムーズにいきません。
レストルームのインテリアも豪華で、厨房の隣に二室(ピンクのドアとブルーのドアの二室で、本来は女性用ですが、ピンクのドアの方が広く、ピンクの大理石カウンターでより豪華ですので、使うならピンクのドアの方をどうぞ。)ありますが、どちらも大理石のカウンター、コーラーの衛生陶器、エッチングされた大きな鏡を使っています。

サービスに関して、全体的に高い水準を保っています。メインのダイニングルームが満席でも、料理の出されるタイミングは問題なく、料理の説明も丁寧で、テーブルの目配りも申し分ありませんでした。デクバージュに関しても確実にこなしています。席を立った時にはナプキンを新しいものにしてくれるなど、細かい配慮がありました。
時おり料理などの話題を話しかけてくれるなど、お客様とのコミュニケーションを大切にする姿勢は大変好ましいと思いますし、その距離もバランス良く保っています。出店時の見送りも気持ちのいいものでした。

◆価 格
ランチ
 ¥3,500(料理により追加料金が必要なこともあります。)
     前菜、ポタージュ、魚料理、肉料理、デセール、食後の飲物
ディナー
 ¥8,000(料理により追加料金が必要なこともあります。)
     アミューズ、前菜、魚料理、肉料理、デセールまたはフロマージュ、食後の飲物、プティフール
 ¥10,000
     アミューズ、前菜二品、魚料理、肉料理、デセールまたはフロマージュ、食後の飲物、プティフール
  アラカルトもあります。また季節により特別ディナーコースがあります。
   サービス料 14%

◆料 理
料理の写真を掲載していますが、他のお客様に迷惑にならないように、すべてフラッシュを使用していません。
テーブルの上は暗いため、写真がかなり不鮮明ですが、ご了承ください。

以下の料理は市川シェフの時のものです。

通常の¥10,000コースの料理は、最初の前菜とメインの肉料理を数品から選択するスタイルですが、基本的にはアラカルトの中からポーションを調整した料理になります。特に好きな料理をたっぷり食べたいのではないのなら、コースを選んだ方が、金額的にはお得と思います。なおコースの場合、メインの肉料理はデクパージュしてサービスするため、二人で同じ料理を選ぶ必要があります。また肉料理はクラシックな重たいソースの料理が多いので、苦手な人は、前菜は軽めのあっさりした料理を選んだ方が良いと思います。ディナーコースの料理の量も、普通の人には十分な量となっています。また以前より、しっかりした味付けの料理が多くなってきたように思われますので、軽い料理を食べたい人は、ギャルソンとよく相談して料理を決めましょう。

アミューズの『雲丹卵』は、雲丹にクレーム・ド・オマールとスクランブルエッグを合わせて、よりまろやかさとこくを高めたシンプルですが、食事のスタートには最適の一品です。少し温めて出されました。
前菜の『仔羊フィレ肉と夏野菜のテリーヌ仕立て』は、少しスパイシーなガスパッチョ風の冷たいトマトソースが添えられた料理で、仔羊フィレ肉の臭みは全くないので、仔羊が苦手な人でも大丈夫でしょう。ニンニクの使い方も控え目です。ズッキーニ、蓴菜(じゅんさい)、大根も使われ、初夏にふさわしい前菜で、盛付けもきれいです。
前菜の『キャベツに包まれたフォアグラのヴァプール ごぼうのソース』は、マディラ酒を入れた甘酸っぱい、ごぼうの風味を生かしたソースが、フォアグラとよく合います。ソースにはトリュフの微塵切りやクルミも入っています。ごぼうを立てて回りに配置したおもしろい盛付けです。アラン・サンドランスの『フォアグラのキャベツ包み蒸し』とは、かなり異なる、こってりした味の前菜です。
前菜の『あわびのすりおろし 冷製パスタと共に』は、初夏にふさわしい、さっぱりした料理で、あわびの持ち味をそのまま生かしていて、冷製パスタもあっさり仕上げていました。
前菜の『黒トリュフのスープ パイ包み焼き』は、黒トリュフのシーズンではありませんでしたが、熱々のパイを破って立ち上るトリュフの香りが濃厚です。コンソメスープには、黒トリュフのスライス、ネギ、いんげん、人参の微塵切りが入っていて、濃厚な味です。

魚料理の『”築地市場”より届けられる お薦め鮮魚料理(イサキのポワレ)』(ディナープレートではないので、量は少な目でした。)は、コンソメで煮た薄めの味付けの大根がイサキの下に敷いてあり、イサキの上にはオクラやポワローの千切のソテーがのっています。お皿が運ばれてから、熱々のソースがかけられると、甲殻類の樟脳の香りが立ち上り、食欲をそそります。
魚料理の『常磐より、活け締めのコチ マリニエール風』は、銀座『レザンドール』時代から魚料理を得意としてきただけあって、あまりフランス料理に向くとも思えないこちの素材本来の味を生かしながら、個性的ですが、あっさりした魚料理に仕上げていました。

肉料理の『子鳩のロースト フォアグラソースと共に』には、 クルミのオイルを使ったヴィネグレットソースがかかったサラダ(子鳩のモモ肉添え)が、サービスされました。マディラ酒とフォアグラを使った濃厚で甘酸っぱいソースには、鳩のレバーの微塵切りも入っています。野生味あふれるソースは、旨味がしっかり出ている子鳩の肉とよく合います。
肉料理の『蝦夷鹿のロースト 黒こしょう風味』は、ジビエの季節ではないのに大変素晴らしい素材を使っていました。これは契約猟師から仕入れた(駆除のため狩猟期間外でも一部狩猟が認められています。)鹿肉ですが、とても柔らかくて肉質が良く、火の通り具合もベストです。デクパージュしてサービスされますが、黒こしょうの味付けも季節に合わせて、少し濃い目の味付けでした。

デセールの『ドーム・ショコラ』(写真はアーモンド風味の白い熱々の生クリームをかけた後に撮影したので、ドームの形は崩れています。)は、チョコレートのドームの中にはラズベリーとブルーベリーが入っていて、ソースもラズベリーとブルーベリーが使われています。これらのフルーツとアーモンド風味の生クリーム、チョコレートの相性はとても良いと思います。
デセールの『冷製チョコレートのスープ仕立て』は、初夏らしい冷たいデセールで、チョコレートのスープ仕立てなのに、意外にも、下にはアズキと柚風味の白玉が入っていました。食べてみると何の違和感もなく、味のまとまりも申し分なく、デセールとして完成しています。
デセールの『お皿のデザート 桃、桃、桃?』は、旬の桃を3種類のアレンジで調理して盛り付けるという、シェフのアイデアが生かされた逸品でした。

食後の飲物は、エスプレッソ、コーヒー、紅茶、ハーブティーを選ぶことができます。
食後の飲物と一緒に供される、プティフールはオーソドックスな焼き菓子が用意されます。
パンはシャンピニオンとバゲットで、これといった特徴はないですが、いつも温めてサービスされました。バターはエシレを使っていて、フロマージュの種類も充実しています。

ワインの品揃えに関しては、ボルドー赤とブルゴーニュ赤がそれぞれ30種類位、ブルゴーニュ白が15種類位、他の地域の白が20種類位、シャンパーニュが35種類位と、充実しています。ソムリエと相談しながらじっくり選ぶことができます。価格はレストランとしては平均的で、高級店にしては、¥8,000から¥15,000の品揃えが充実していて、選ぶのに悩み(うれしい悩み)ます。フロマージュ用にを頼みたくなります。

◆その他の情報
メニューの改定は季節ごとに定期的に決まっているわけではなく、旬の食材が入手できるかで変わるようです。メインの肉料理は、オーソドックスなものが多いので、季節により内容はあまり変わらないようです。
ガラス張りの円形個室を利用したい場合、特に個室料は取られませんので、人数が4名以上であれば予約時に確認してみましょう。
1Fのシャンパンバーのみの利用も可能です。営業時間 18:00〜23:00

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