あーーあ、こんなコーナーを設けたのはいいけど、忙しくて書く時間が取れそうもないな...と、三日坊主ならぬ、三ヶ月坊主になりそうな雲行きでしたが、何とか暇をみては書き始めると、好き勝手なことを書いているので、意外とスラスラ書けるものですね。ただ書きたいことが山ほどあって、「やめられない。止まらない。カルビーのかっぱえびせん」状態になって困っています。 今回のお題は、男のファッションです。 (最後まで書いてみたら、途中までは女性のファッションの話題になってしまいましたが) 女性の方、ごめんなさい。といっても、女性で読んでらっしゃる人は、ほどんどいないでしょうけど。 巷には、女性向けファッションブランドに負けず劣らず、男性向けファッションブランドも、あふれていますね。ちなみに私は、いろいろな事に好奇心が旺盛なせいか、女性向けファッションブランド(特に海外有名ブランド)も、平均的な男性諸氏よりは詳しいと自負しています。 小さい頃から地図を見るのが大好きで、都会で育ったせいか、タウンウォーキングも大好きで、銀座並木通り、フォーブル・サントノーレ通り、モンテーニュ通り、ボンド・ストリート、リージェント・ストリート、コンドッティ通りと、いろいろなブランド街を歩いています。ヨーロッパでも、「確かあの角を曲がると、フェラガモの店があるはずだ。」などと、呟きながら、せっせと歩いています。
フリーランスライターのお手当てが安いのでしょうか? まあ雑誌の話しは置いといて、ファッションの話しに戻りましょう。 数年前、フェラガモがブームの時に、ローマのスペイン広場を歩いていたら、日本人の若い女性のほとんどが、赤いフェラガモの袋を持って歩き回っているし、店に入れば、日本人ばかり。まだグッチの店は、トム・フォードがクリエイティブ・ディレクターになっていなかったせいか、人気は今一つで、比較的空いていました。他にもイタリアには、靴が主力のブランドとして、タニノ・クリスティー(かなりお高いですね。浅野ゆう子様御用達のようで)やブルーノ・マリなどがありますね。 スペイン広場の階段で記念写真を撮り、フェラガモで靴を買い、セルモネータ・グローブスで店員に手を見せて手袋を買うというのが、典型的な日本人女性のスペイン広場周辺での行動パターンでしたね。日本の価格は現地の3倍以上でしたから、仕方がない気もしますが。 フェラガモの靴は最初に、ハリウッドで人気が出たせいか、アメリカ人にも人気で、アメリカのデパートでも一般的だし、フィレンツェの本店では、日本人の団体がどっと入って来たかと思うと、次はアメリカ人の団体が... その頃のフェラガモと言えば、なんと言っても ヴァラシリーズの靴 が一番人気でした。街を歩いていると、あっちもヴァラ、こっちもヴァラという感じで、雑誌を見ると、吉川(現 君島)十和子嬢のシューズボックスには、ズラリと並んだヴァラシリーズの靴が......イメルダ夫人(古い)や君島 十和子嬢を見ると、女性って靴が好きなんですね。(靴だけではない気もしますが...) ところが、最近日本のフェラガモの店に入ると、「エエーッ! ヴァラシリーズはどこに行ったの?」と叫びたくなる位、昔の定番の靴は置いてありません。グッチと見間違えるほど、ヒールが太い、少々無骨な靴が並んでいます。 「エレガンスよ 何処へ?」
でもケンゾーやイッセイミヤケは、まだ生きているぞ。「生涯一デザイナー」はいないのかな。 また話しが脱線しましたが、 グッチの店に入れば、今度は「あれ?バンブーバッグはどこにあるの? 昔の人気は何処へ?」という位、こちらも昔の定番商品が隅に追いやられていました。これもプラダのナイロンバッグの影響でしょうか? 男性にとって、女性のファッションの移り変わりには、びっくりさせられます。 男のファッションの奥深さ(?)について語るつもりが、またまた脱線して、女性のファッションの奥深さ(?)の話題になってしまいました。 そろそろ本題に戻して、男のファッションについて、語りましょう。 銀座で優雅な気分で服を買いたいなと思うと、いつもポール・スチュアート銀座店に足を向けてしまいます。もっと高級な注文紳士服の英国屋もありますが、ちょっと私には場違いな雰囲気がします。 何故ポール・スチュアートであって、セルッティでなく、アルマーニでなく、ヴェルサーチでなく、エルメネジルド・ゼニアでなく、ポール・スミスでもないのか? これには、自作パソコンと同様に、長ーーい歴史があるのです。 ヨーロッパの文化(特にイタリア、フランス、スペイン)が好きで、個人的な旅行はいつも欧州、米国には仕事でしか行ったことがない人間が選ぶ服装は、ユーロピアン・ブランドではなく、いつもアメリカン・トラディショナル(ブルックスブラザース、Jプレス 肩パッドなし、ダーツなしの微妙なシルエット、段返り三つボタンのジャケットが最高なんて思った時代もありました。)か、ブリティッシュ・トラディショナル(バーバリー、アクアスキュータム、オースチン・リード)、またはその中間(ポール・スチュアート、ラルフ・ローレン)なのです。 「現代の男の服装の源流は英国であり、男の服装は男の品位を決める重要なアイテムのひとつである。紳士たるもの常に正統を歩め。」と、幼少の頃から父に帝王学として、日常の服装について厳しく叩きこまれた私(嘘)としては、デザイナーが毎年あちこちシルエットをいじくりまわす、ユーロピアンブランドの男性ファッションなんて、男に相応しい服装でないと勝手に考えるのです。 何て勿体ぶった理由を挙げましたが、単に石津謙介氏、くろすとしゆき氏、昔のメンズクラブに洗脳されただけのような気がします。(^_^;; でもトラッドって便利ですよ。何しろあれこれ服装選びで悩む必要がないし、ある程度アイテムが揃えば、変化をつけるのは、ネクタイ、ワイシャツ、カフス、ポケットチーフ、時計などの小物ですむので、コストセービングにもなります。時計にハマルと大変ですが...地味目で、よいとこのお坊ちゃん風に軽く見られるかもしれませんが、何となく清潔感があり、相手に好印象を与えることができます。 ケネディのように、米国東部のアイビーリーグ出身のエスタブリッシュメントのイメージかな...何て思っているのは、自分だけだったりして... そんなこんなで、昔からトラッド派なのですが、最近はガチガチのアメリカン・トラディショナルより、少し遊びが入った方が楽しいということで、少々気張った服装を買いたいなと思うと、ポール・スチュアートを選択します。 日本ではポール・スチュアートは、ライセンス商品専門で三陽商会がデパート内で展開している店と、ライセンス商品と輸入商品の両方を扱い、ポール・スチュアート・ジャパン(※2009年に三陽商会がすべてのポール・スチュアート製品を扱うことになりました。金融危機の余波でしょうか?)が展開している路面店の二種類ありますが、優雅な気分に浸りたいなら後者に行くことになります。 銀座ニ丁目の店の洗練されたウィンドウディスプレイを眺めてから、重めのガラス扉を開けて、広々した厚手の絨毯が敷き詰められたフロアに一歩足を踏み入れると、銀座の喧騒が嘘のような、静かで落ち着いた雰囲気に包まれます。 店内をぶらついていると、「オオッ! シルクを使ったガウンか! こんなガウンを羽織って、暖炉のあるジョージアンスタイルのリビングルームのソファに座って、カクテルでも飲みながら、ドビュッシーのベルガマスク組曲なんか聞いたら最高だろうなあー (何たるブルジョア的発想!!) シルクを使っているから、きっと10万円近くするんだろうなー。どれどれ、値段はいくらかな? ドッヒャー!! メイド・イン・イングランドで18万円!! 妻とペアで揃えると36万円也。」 ガウンですよ。ガウン! 家で着るものですよ。人様にお見せする服じゃありません。全くの自己満足のための服! そりゃオールカシミアで30万円のガウンなんてものもありますし、お金持ちなら、何とも思わない額なのかもしれません。 でも後で冷静になって考えると、「この値段、高いのでしょうか?」 3年で陳腐化していまうノートパソコンだって10万円以上はするし、毎日使うとも思えないデジタルビデオカメラだって10万円位します。それに比べれば数年以上は優雅に着れる18万円のガウンは、本当に高いのでしょうか? 高いと感じたのは、デパートで売っているガウンは、だいたいウールで1〜3万円という先入観念があるせいではないでしょうか? つまりその商品が高いか安いかという判断は、単にその人が漠然と思っている妥当な価格帯という基準で考えているにすぎないからだと思います。 そんな事をぼんやり考えて日経新聞を読もうとすると、新聞の折り込みチラシに、「土日特価 コーデュロイのズボン ¥1,990!!」の文字が。現在、業績絶好調のファーストリテイリング(Fast Retailing)の製品です。皆さんユニクロと呼んでいる超有名ブランドです。 ユニクロではガウンは売っていないようですが、ポール・スチュアートの製品との間には、かなり価格にGAPがありそうです。←これ、駄洒落だってわかりますか? 「ユニクロかあ。 新聞では何かと話題になるけど、どんな店で、どんな商品を売っているんだろう?」 私の場合、「何でも見てやろう。」という性格で、「私はシャネルの服しか着ません。」とおっしゃる、シャネラー(ちなみに私は、グッチ好きは、グッチャー、フェラガモ好きはガモラー、フェンディ好きはフェンダーと、勝手に言っています。すみません。)のような、お嬢様的硬直したポリシーは全く持ち合わせていないので、さっそく車を飛ばして買ってきました。 お店に着くと、プレハブの建物の壁には、英語でUNIQUE CLOTHINGの文字が。 「なるほど、ユニーク・クロージングの略で、ユニクロかあ。」と感心して中に入ると、通路は広く大きな棚に整理整頓されて並べられた服は、ユニークとはほど遠い典型的なアメリカン・カジュアルファッションでした。画一化されたオーソドックスなデザインで、各色、各サイズを豊富に取り揃え、どれも中国製でしたが、奇抜なデザインはなく、誰でも着られるカジュアルファッションです。 棚からジャストサイズのコーデュロイのズボンを探して、キャッシャーに持って行くと、何となくマックに行ったような気分になって、「いらっしゃいませ!」と言われると、「コーデュロイのズボンをセットでください。ポテトは、この茶のベルトのサイズで。飲み物は、このネイビーのソックスをお願いします。」と答えてしまい、若い店員が、「こちらで裾上げなさいますか?」と言ったのに、「こちらで召し上がりますか?」と言われたような気がして、「はい。こちらでこのズボンを食べます。」...... 何て勘違いすることは絶対ありませんので、ご安心を!! コーデュロイのズボンの品質に関しては、「この値段なら、特に不満もございません」 セーターなどは、あまり買う気がしませんでしたが、何しろ郊外に住んでいる人なら、都心へ行くための往復電車賃+ドトールのLサイズコーヒー(私は苦手ですが)代位で、コーデュロイのズボンがひとつ買えるのですから。 最近は、ダイエー、イトー・ヨーカドー、その他のカジュアルウェア専門店も価格競争に巻き込まれて、「一日限りの大特価!! スラックス¥990」なんて文字が、折り込みチラシにあふれています。 ¥1,990というコーデュロイのズボンの価格は、テイジンメンズショップの1/6、ポール・スチュアートの1/10位です。 失われた90年代で、日本では商品の価格破壊、メーカーやショップの地殻変動、消費者意識の変化が、かなり進んでいるようですね。
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