東京・ロンドン・パリ オペラハウス珍案内

毎度お馴染み(?)流浪のコンテンツ、『気分はいつもブルーグレー』の季節(?)がやってまいりました。

さて何事もなかったようにミレニアムは終わって21世紀になり、既に新緑真っ盛りの季節。
東京タワーの展望台のネオンサインも2001を表示しています。
東京タワーの寿命が尽き果てるまで、この表示を続けてもらいたいものです。

4月は2001年度の最初の月で移動や引越しの時期、実は私も3回目の引越しをしたのですよ。

「エッ?講談社の本にも紹介されたあの美しい庭(?)の家から引越ししたの?」

「イエイエ、このTOKYO OASISの引越しのことですよ。」
独自ドメインなので、このサイトを訪問してくれた人には、引越しは見た目はわかりませんが(アクセスカウンターのデザインとメールのページのCGIが違うんですね。)、ゲルマン民族の大移動ならぬ、ホームページ大移動をまたまた無謀にも(?)敢行したのです。

何しろ1997年から開設しているサイトなので、ファイル数は拡大の一途を続け、引越しは大変な手間なんですが、「安いが一番!!」。毎月の開設費用が安いので、関西のサーバーから東京のサーバーへ大移動しました。TOKYO OASISなんて名のっておきながら、皆さんがアクセスしていたのは、関西のサーバーだっだんですよ。

最初にTOKYO OASISのサイトを開設した時はリムネット、すぐに容量が足りなくなってAsahiネットへ、その次が独自ドメインでSakuraネット、そしてまたAsahiネットに帰ってまいりました。
Art de Vivreの方は、TOKYO OASISと一緒では、いずれサイトの容量が足りなくなるし、かっこ良くミレニアムを記念して(?)独自ドメインで独立ということで、Kenコンサルティングに最初のお引越し。そして昨年、先にAsahiネットに移動と、ここ1年半は両サイトともあちこちに何回も引越しを繰り返しましたが、やっとふたつのドメインとも同じ安住の地、Asahiネットのレンタルサーバーに辿り着いたようです。

何のことはない、Asahiネットが独自ドメインを格安で提供してくれる(50MB ¥2,800/月)まで、たった3ヶ月辛抱して待っていれば、こんなに何度も引越しする手間はいらなかったんですがね。全くの二度手間でした。(^_^;;

皆さん!!
これだけの手間とお金をかけながら、皆さんは無料でこのサイトを隅から隅まで読んだり、作者を馬鹿にしたりできるのですよ。心して正座でもして、たまには黙祷でも捧げて(オイオイまだ死んでないぞ。)、真面目に襟を正して、敬礼しながらこのサイトを読む必要は・・・・・全くありませーーん!
気楽に寝転んで、コーヒーでも飲みながら楽しんでくださーーい!

さてさて前置きがまた長くなりそうなので、何とか短くしましたが(? やっぱり長いか?)、久しぶりのこのコーナーの、今回のお題は オペラ というかオペラハウスの楽しみ方(?)です。

昨年12月のクリスマス前にロンドンとパリに行き、オペラを観てきましたが、ヨーロッパは暖かくて日本とさほど変らない気温でした。

「何でもっと寒くないんだ!」

「ヨーロッパの寒い冬の中を、ホテルからドレスアップし、厚手のロングコートを着て、オペラハウスや三ツ星レストランへ」というのが、冬の贅沢なヨーロッパの過ごし方という単純な認識しかない私は、暖冬が多く、ロングコートを着て出かけると、すぐに汗びっしょりになり、人の群れで疲れてしまう東京とは違う、スノッブさをヨーロッパに期待してしまいます。
12月23日(土)のパリのオー・プランタンデパートは、正月用品を買う客でごったがえしている年末の東京のデパートのように、芋を洗うような大混雑。ロンドンのリージェントストリートの有名ショップも12月半ばは混雑していて、既にアカスキュータム、オースチンリードはセール真っ最中でした。

クリスマス前の華やかな気分を味わうためのロンドン・パリ旅行が、何となく東京の年末商戦に出かけていったような雰囲気でした。パリのマリアージュ・フレール本店も日本人客が多いしね。ヨーロッパも東京も同じなんですね、年末のあわただしさは。でも何となくウキウキするのがクリスマスシーズン(=オペラのシ−ズン到来)です。

待望のオペラをロンドンのロイヤル・オペラハウスとパリのオペラ・ガルニエで観てきました。

私のオペラの楽しみ方は、クラシック音楽通からは嫌われる、オペラの雰囲気を何でも楽しんでやろうという、単なる好奇心充足型です。
オペラもモーツアルトを除いて、美しいアリアが多く、劇的な展開の多いイタリアオペラの方が楽しめます。ワーグナーは重たくて疲れますよね。

難しい理屈は黒田恭一氏におまかせして、オペラは単純なストーリー展開と美しいアリアを楽しむのが一番!
オペラのことを全く知らない人は、オペラを高尚な芸術なんて勘違いしている人がいますが、オペラなんて不道徳なストーリーのオンパレードですよね。三枝成彰氏なんて、「不道徳なものほど芸術として残っている場合が多い。」なんて書いております。

愛人・不倫・駆落ちは当たり前、お昼のTVのワイドショーのような題材が多いですな、オペラには。まあドラマというものは、『渡る世間は鬼ばかり』のように、必ず事件を起こす人がいないと成立しませんから。普通の人の普通の行動を芸術にしてしまうのは、イッセー尾形氏位なものでしょう。

オペラが嫌いだった昔は、「こんなTVのワイドショーのような題材が多く、単純なスト−リーで、セリフをいちいち歌うような不自然なドラマはどうも馴染めん!」と思っていた(ブラームスもTVのワイドショーが嫌いで、オペラを1曲も作曲しなかったのでしょうか?)のですが、美しいアリアのCDを何となく買ってしまったのが中毒の始まり。幾度となく聞いているうちに、いつしかオペラの魔力に引き込まれてしまいました。

でもオペラハウスに行って、今でもちょっと違和感を感じるのは、カーテンコールというお決まりの儀式。コンサートならアンコール曲もあり(ホールの入口にアンコール曲が掲示してあるのは興ざめですが。)、楽しい余韻がありますが...
オペラの場合は、最後にヒロインが死んで音楽が劇的に高まり、こちらの目頭も熱くなって、さっと幕が降りる。

映画『プリティウーマン』では『ラ・トラヴィアータ』を観終えたジュリア・ロバーツ扮するヴィヴィアンが目を潤ませながら、かなりおもしろい?セリフを言ってましたね。それにしてもジュリア・ロバーツていう女優さん、実際もプリティウーマンのような人だったんですね。アカデミー賞授賞式を観ててそう思いました。
感動もさめやらないうちに、また幕が開いて、今死んだばかりのヒロインがニコニコしながら舞台に登場では、「さっきの死はなんだったの?」なんて気持ちになってしまいます。悲劇なら、「しばらく奥に引っ込んでてよ。」と言いたくなります。
『トスカ』のスカルピアなんて憎々しげなキャラクターは、とても魅力的で好きなんだけれど、第2幕であっけなく死んでしまい、第3幕には登場しないから、第2幕が引けると、これまたすぐに生き返って、長々とカーテンコール。「途中でカーテンコールなんてしないで、出番がなくても最後まで待ってなさいよ。そんなにすぐにホテルに戻って休みたいの?」と言いたくなります。

まあオペラのカーテンコールにはブーイングする楽しみ(特に演出家に!)もあるので、否定ばかりはできませんが。


さて東京でオペラを観るとなると、初台の新国立劇場、上野の東京文化会館、渋谷の東急文化村のオーチャードホール、渋谷のNHKホールが代表的なホールですね。
地方の人には申し訳ないですが、オペラハウスがあるということは、東京という都市の成熟、都会で生活していることの幸せを感じます。

この中でもやはりオペラハウスと呼べるのは、オペラ・バレエ専用劇場の新国立劇場でしょう。
初台は不便、首都高速道路に面している、客席数が少なめといろいろ批判を浴びていますが(確かに有楽町に東京国際フォーラムなんて建てないで、堂々としたファサードのオペラハウスを建てたら最高ですが。)個人的には結構気に入っているオペラハウスです。客席から舞台が観やすい構造ですし、木を美しく生かしたホールは音響特性もまずまず、駅に直結しているという利点もあります。
おまけにフォアイエ(下の写真)がかなり広く、大きなガラス張りの窓は池のある中庭に面していて、オペラハウスに行く楽しみのひとつ、幕間の飲物片手の談笑がゆったりと気持ち良く楽しめます。
opera tokyo
反対にロンドンのコベントガーデンにあるロイヤル・オペラハウスは、名門オペラハウスなのに、建物に入るとすごく小さなフォアイエしかなく、ホールの入口がすぐ目の前です。ではどこで幕間の飲物を楽しむのか?

大日本幕間飲物愛好家協会会長 としては重大な問題です!!

何と2年に及ぶ改装期間を経て、下の写真のようなステンレス(?)、ガラス、鏡を使ったハイテク的な食事・飲物コーナーを、古き良きオペラハウス内に作ってしまったのです。
opera london
この空間はホールに隣接した、クラシックで美しい鉄骨の建物にあり、周囲は予約できるテーブル席がいくつもあり、幕間には大きな声でおしゃべりしながら、英国名物(?)サンドウィッチを老若男女がパクついてます。
ホールの方はと言うと、歴史が古いので席はゆったりとはしていませんが、やはり格式を感じさせる美しいインテリアです。

パリの方のオペラハウスは、19世紀に建てられたパリのシンボルのひとつ、オペラ・ガルニエと、フランス革命200周年を記念して建てられた、モダンデザインのオペラ・バスティーユのふたつの建物がありますが、ヨーロッパの雰囲気を満喫したいなら、オペラ・ガルニエの方で観劇したくなります。ロケーションも最高です。
オペラ・ガルニエは、ホールは小さ目、席も小さ目で、補助席(バスの補助席のように、幕間にはいちいち席をたたまないと、人が通れなくなるという最低の席です。火事でもあったら大変!)なんていうのもありますから、オペラを観劇するには決して居心地は良くありません。
ただ豪華なインテリアには、圧倒されますし、シャガールの天井画も雰囲気を盛り上げてくれます。フォアイエも広く豪華なので、幕間にはグラス片手にそぞろ歩きも楽しめます。
幕間の飲物も下の写真の美しいインテリアのコーナーで買うことができますよ。
opera paris


「さあ幕間だ! 混まないうちに飲物の確保をしよう!」

ここで予定通り、「オペラ幕間飲物審議会」が幕間になったと同時に開かれます。
この時に飲物の売場がどこだろうと、ウロウロ探しているようでは、大日本幕間飲物愛好家協会会員 にはなれませんよ! ヨーロッパの初めてのオペラハウスでも、早めに着いて飲物売場の位置を事前に確認してください。
ホールを出て、最短経路で飲物売場に直行です。

「せっかくヨーロッパに来てオペラを観ているんだ。コーヒーじゃあ我慢できないな。」
「さてメニューにはどんな飲物があるかな?」
「オッ! シャンパーニュは私の好きなポメリーのアパナージュだよ。高いけどこれに決めた!」
「ウーン 今日はお腹がすいているから、おつまみも欲しいけどちょっと高いな、やめとくか。そのかわり赤ワインが安いから、シャンパーニュの後に飲もう!」

「イヤー 幕間のシャンパーニュはおしゃれで最高だよ! キャビアがあればもっと最高!」
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「オッ! 幕間終了のアナウンスがあったぞ。席に戻らないと。」

「席は端の方だけど、このホールではまあまあ見やすいな。」

「***のリューは可憐でいい声だな...『王子様お聞きください』は最高だった...」

  【コックリ】

「ピン、パン、ポンの狂言回し的な役回りは好きなんだけど...」

  【コックリ】 【コックリ】

「今日はお酒がきいたのか、やけに眠いな...」

  【コックリ】 【コックリ】 【コックリ】
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パチ、パチ、パチ、パチ・・・・・・(大拍手の音)

「おっと、つい寝てしまった。拍手がすごいけど、何があったんだ?」

「な、な、なんと! カラフの 『誰も寝てはならぬ』 が終わったんだ!!」

「『トューランドット』一番のアリアを寝過ごして聞き逃してしまったーあ!!」

「あーあ! 奮発してポメリーのシャンパーニュと赤ワインを飲まなきゃ良かった!!(涙)」
    
  この人何しにオペラハウスに行ってるんですかね?

いやーオペラって本当に楽しいですね。またお会いしましょう。
(映画評論家 M・H氏がオペラ好きかどうか、定かではありません。)



気分はいつもブルーグレー in Tokio へ