アバ(仏 abats)/ジブリッツ(英 giblets) 内臓のことです。この名前がメニューに載ることはありませんが、フランス料理では内臓は特殊な食材ではなく、いろいろな調理法でメニューに登場します。 アニョー(仏 agneau)/ラム(英 lamb) フランス料理の代表的な食材、仔羊のことです。香草(タイム・ローズマリーなど)を使ってローストするのが一番ポピュラーな食べ方です。仔羊の中でアニョー・ド・レ(仏 agneau de lait・・・laitは英語でmilkの意味です。)と呼ばれる生後間もない乳だけで育った仔羊は、肉にクセや臭いが少なく味もマイルドで高価な食材です。 アンギーユ(仏 anguille) 日本料理の蒲焼でお馴染みの鰻(ウナギ)のことで、特にイタリア料理ではよく使われる食材です。ちなみに穴子は、アンギーユ・デ・メール(仏 anguille de mer)といいます。 ヴォー(仏 veau) フランス料理、特にイタリア料理でよく使われる食材、仔牛のことです。 ウールサン(仏 oursin) 寿司の高級食材である、ウニのことです。そのままメインの素材にすることは少ないですが、ポタージュに入れたり、生クリームと合わせて魚料理のソースなどに良く使われます。 エクルヴィス(仏 ecrevisse) ザリガニのことです。 エスカルゴ(仏 escargot) 日本でもポピュラーになってきた食用のかたつむりのことです。ニンニクとパセリを使ったバターを詰めてローストして食べる(この食べ方をエスカルゴ・ア・ラ・ブルギニョンヌ 仏 escargots a la bourguignonneと言います。)のが一般的です。食べる時はテーブルナイフとテーブルフォークでは食べにくいので、エスカルゴトングで押さえて、エスカルゴフォークで食べます。映画『プリティ・ウーマン』では、ジュリア・ロバーツ演ずるヴィヴィアンが高級レストランでうまくエスカルゴトングを使えなくて、悪戦苦闘する愉快なシーンがありました。 エスパドン(仏 espadon)/スウォード・フィッシュ(英 swordfish) 魚のメカジキのことです。パリの最高級ホテル『オテル・リッツ』のメインダイニングの名前にも使われています。 オマール(仏 homard) 英語ではロブスター(lobster)なので、どなたもご存知の素材ですが、ざりがにの一種で最大の海ざりがにです。ブルターニュ産が有名です。ちなみに伊勢海老はあまりフランス料理では使われませんが、ラングスト(仏 langouste)といいます。 カイユ(仏 caille) 日本では卵が一般的なウズラのことです。ジビエの山うずらはペルドリ(仏 perdrix)と言います。 カナール(仏 canard) 仔羊と並んでフランス料理の代表的な食材、鴨のことです。通常は飼育された鴨を使い、シャラン(Callans ロワール地方の村で、家禽の産地です。)産が有名です。野生の鴨はジビエの代表的な食材で、野生の鴨の中で青首鴨(仏語でコルヴェール col−vertと呼ばれ、その名前の通り、首が青緑色した鴨です。)は高価な食材です。『トュール・ダルジャン』では料理で出した鴨に番号をつけて、その番号を書いたカードをくれるのはご存知でしょう。なおフォアグラを取った鴨のことをマグレ(仏 magret)鴨、雄の仔鴨はカヌトン(仏 caneton)、雌の仔鴨はカネット(仏 canette)と呼びます。 キャヴィア(仏 caviar) トリュフ、フォアグラと並ぶ三大珍味のひとつで、チョウザメの卵です。ロシアとイランが主な産地で、セブルーガ(黒ずんだ灰色の細かい粒 英 sevruga)、ベルーガ(色はセブルーガより若干薄いですが、粒が大きい 英 beluga)が代表的な品種です。年々収穫量が減ってきている貴重な食材です。シャンパーニュと一緒に食べれば最高の贅沢です。 クー・ド・ブフ(仏 queue de boeuf)/オックス・テール(英 ox tail) オックス・テールの名前でわかるように牛の尾のことです。赤ワインで煮るのが一般的な調理法です。 クラブ(仏 crabe) カニのことです。どちらかというとフランス料理では甲殻類はエビの方がよく使われます。 クリュスタッセ(仏 crustaces) エビやカニなどの甲殻類のことです。 グルヌイユ(仏 grenouille) 日本ではあまり食べない食用の蛙のことですが、フランス料理では魚料理として扱われ、足を食べます。『キュイジーヌ・アロー(水の料理)』と呼ばれるバターとクリームを使わない新しいフランス料理を始めた三つ星シェフ、ベルナール・ロワゾーの代表的料理に『香ばしいグルヌイユのもも肉 にんにくのピュレとパセリのジュース』があります。 コキーユ・サン・ジャック(仏 coquille Saint−Jacques) フランス料理で魚のメイン料理にも使われる帆立貝のことです。コキーユは貝殻を意味しますので、貝殻に盛った料理(洋食屋ではグラタンにすることが多い)を総称してコキーユともいいます。オリーブオイルで香草(主にタイムを使用)焼きしたようなシンプルな調理法でもおいしくいただけます。 コトレット(仏 cotelette) 仔牛、仔羊、豚、猪などの骨付きの背肉のことを指します。 サン・ピエール(仏 saint−pierre) 的鯛のことで、日本でおめでたい時に出される鯛はドラードと言います。。 ジビエ(仏 gibier) 鴨、鹿、猪、野兎、山鳩など、狩猟解禁される秋から冬にかけての野生の鳥獣類の総称で、高価な食材です。レストランでもジビエを使った料理が秋からメニューに載り始めますが、手に入れにくい食材なので、食べたい人はレストランを予約する時に確認することをお勧めします。ジビエは完全な野生のものでなく、餌付けしたり、成長してから野に放すものもあります。また繁殖しすぎて駆除のために狩猟解禁期間でなくとも、市場に出回ることもあります。 シャトーブリアン(仏 chateaubriand) 元はフランス革命時代の貴族の名前で、その貴族のお抱えコックの考案した牛ヒレ肉料理の呼び名です。今では牛ヒレ肉の太い方から厚く切った最高級の肉のことをいいます。 ジャンボン(仏 jambon)/ハム(英 ham) 日本では英語のハムからイメージすると、ロースハムなどの加工食品を考えますが、本来は豚の股肉のことです。 ジュー(仏 joue)/チーク(英 cheek) 頬肉のことです。『牛の頬肉[ジュー・ド・ブフ(仏 joue de boeuf)の煮込み』はビストロの定番料理です。 シュヴルイユ(仏 chevreuil) 鴨と並んで代表的なジビエの食材、鹿のことです。日本では北海道のエゾ鹿が有名です。牧場などで養殖している場合もあります。 ソーモン(仏 saumon)/サーモン(英 salmon) 魚の鮭のことです。三つ星レストラン『トロワグロ』の代表的な料理に『ソーモン・オゼイユ』があります。 ソル(仏 sole)/ソール(英 sole) 魚の舌平目のことです。イギリス料理ではドーバー・ソールがよく使われます。ムニエルやソテーで調理するのが一般的です。 チュルボー(仏 turbot) 日本の寿司でも高級な白身魚、平目(鮃)のことです。 ドラード(仏 daurade) 日本では高級魚の鯛のことです。フランスでは、舌平目、スズキの方がポピュラーでしょう。 トリープ(仏 tripe)/トリッパ(伊 trippa)/トライプ(英 tripe) イタリア料理ではトリッパとして有名な食材ですが、胃袋のことです。普通牛の胃袋[グラ・デューブル(仏 gras double)とも言います。]が使われます。蜂の巣状をしていて、長時間下ゆでしてから煮込みます。 トリュフ(仏 truffe)/タルトゥフォ(伊tartufo) キャビア、フォアグラと並ぶ三大珍味のひとつでキノコの一種です。あまりメインの食材ではありませんが、ジョエル・ロブションの代表的料理、『トリュフのガレット』があるので、ここに含めました。パイ包みやスープによく使われます。フランス産はほとんど黒トリュフですが、イタリアでは白トリュフもたくさん取れます。香りは白トリュフの方が上で、値段も高くなっています。収穫の方法はご存知のように、犬や豚に土の中を探させて取ります。 バヴェット(仏 bavette) 本来は”よだれかけ”の意味ですが、フランス料理では牛のサーロインの下の腹身肉のことを指します。安価なのでビストロでよく使われます。 パンタード(仏 pintade) 日本ではあまり一般的でないほろほろ鳥のことですが、フランス料理ではよく使われます。パンタードは白身の肉ですが、次のピジョンは赤身の肉です。鶏肉よりは味にこくがあります。 ピジョン(仏 pigeon) 鳩のことです。これもフランス料理ではポピュラーな食材です。普通は肉質が柔らかくクセのない仔鳩(ピジョノー 仏 pigeonneau)が使われます。鳩というと駅前広場にいる野鳩を思い浮かべて敬遠する人が多いですが、きちんとした飼育場で育てられていて、合鴨と同様に旨味のある美味な肉です。ジビエの山鳩もあり、これはピジョン・ラミエ(仏 pigeon ramier)と言います。 フォアグラ(仏 foie gras) 鵞鳥(オア 仏 oie)か鴨(カナール 仏 canard)にえさを大量に与えて肥大させた肝臓のことで、キャビア、トリュフと並んで三大珍味と呼ばれています。とてもこってりとして、とろけるような味が特長です。コクのある鵞鳥のフォアグラ(フォアグラ・オア)はテリーヌに、鴨のフォアグラ(フォアグラ・カナール)は火を通すと香ばしくなるので、フライパンで両面を軽く火を通して食べるのが一般的です。火を通す時は素材本来に脂肪分が多いので、通常油は使いません。産地としてはペリゴール地方が有名です。ヌーベルキュイジーヌの元祖と言われ、三つ星シェフ、アラン・サンドランスの『フォアグラのキャベツ包み蒸し』は素材の組み合わせの斬新さと新しいフォアグラの食べ方として有名になった料理です。 フザン(仏 faisan) 日本でも昔から食用にされてきた雉(キジ)の事です。ジビエとして扱われ、大型の鳥で白身の淡白な肉です。 ブフ(仏 boeuf) 牛肉のことです。日本と異なりフランスでは鴨、鳩、仔羊、鹿の方が一般的には高価な食材として扱われます。 プーレー(仏 poulet) 生後六ヶ月以内の若鶏(ひな鶏)のことです。ブレス(Bresse フランシュ・コンテ地方のブール・カン・ブレス市周辺地域を指します。)産が非常に有名で、原産地名称権を持っています。 ベカス(仏 becasse) ジビエの中で一番高級と言われている山シギのことです。フランスでは保護鳥なので、ベルギー産などが輸入されます。 ポールまたはコション(仏 porcまたはcochon) 豚のことです。子豚はポルスレー(仏 porcelet)といいます。 マルカッサン(仏 marcassin) 日本でも鍋でおなじみの猪のことです。これもジビエとして扱われます。 ムル(仏 moule) ムール貝のことです。フランス、ベルギー、スペインでは値段も安く、一番料理に使われる貝と言って良いでしょう。 ムール貝を香味野菜と白ワインを使って蒸し上げた、『ムール貝の白ワイン蒸し(右の写真)』はベルギーの名物料理で、鍋いっぱいにムール貝が出されます。 モワル(仏 moelle) 骨髄のことですが、フランス料理では一般的に牛の骨髄を指します。 ユイートル(仏 huitre) 冬の味覚、カキのことです。フランスでも生でレモン汁をかけて食べられます。フリュイ・デュ・メール(海の幸 fruits de mer)と呼ばれる生の魚介類を氷の上に盛り合わせだけの料理はフランスのシーフードレストランのメニューによく載っています。 ラパン(仏 lapain)/ラビット(英 rabbit) 飼育されている兎(ウサギ)のことです。刻んで料理に入っていると、白身の肉なので初めての人は鳥肉と区別がつかない場合もあるようです。なおジビエの野兎はリエーヴル(仏 lievre)と言います。 ラング(仏 langue)/タング(英 tongue) 洋食のタン・シチューでおなじみの舌のことです。普通は牛の舌が使われ煮込み料理で出されます。 ラングスティーヌ(仏 langoustine) 日本では赤座エビ、または俗に手長エビと呼ばれているエビです。イタリア料理ではスカンピ(伊 scampi)と呼ばれ、単にグリル(網焼き)しただけで出されることがあります。 リ・ド・ヴォー(仏 ris de veau) 仔牛がミルクを飲んでいる間、ミルクを消化するための酵素が出る内臓のことで、喉の付近にあります。胸腺、顎頭肉とも呼ばれていて、弾力のある肉です。仔牛の間のわずかな部分の肉なので貴重な食材です。セルヴェル・ド・ボー(仏 cervelle de veau)と呼ばれる仔牛の脳みそも珍重されています。 ルーまたはバール(仏 loupまたはbar) 魚のスズキのことです。三つ星シェフ、ポール・ボキューズの有名な料理に『スズキのパイ皮包み』があります。同じスペルですが、バールは伊語では全く別の意味で、主にコーヒーなどの立ち飲みや軽食の取れるカフェとして、イタリア旅行された人にはおなじみでしょう。 ロニョン(仏 rognon)/キドニー(英 kidney) 腎臓のことですが、フランス・イギリス料理では主に仔牛の腎臓を指します。イギリス料理ではキドニーパイが有名です。料理用語とは全く関係ありませんが、車好きな人ならBMWのフロントグリルがキドニーグリルと呼ばれていることはご存知でしょう。 |